『われわれはどこへ行くのか?』松井孝典
われわれはどこへ行くのか?
松井孝典
ちくまプリマー新書
2007.2.10
735円
★★☆☆☆
紙が厚め。大きな文字。行間がら空き。
読書経験の少ない人に向けた新書レーベルのようなのですが、文字がスカスカでかえって読みづらいです。
しかもこの本、面白くないのです。
最初に「われわれ」の定義から入ります。全生命、人類、日本人……。あれ? 「われわれ」の前に「わたし」と「世界」についてデカルトの懐疑論を紹介するのを忘れていませんか。「哲学では説明できない」ってあっさり切り捨ててますが、素朴な実在論に拠って始めるのであれば「われわれ」の認識・定義も必要ないような気が。
全篇が同様の大雑把さで進みます。地球物理学の視点、環境問題、宇宙開発、生命。裏表紙に書かれている通り
われわれとは何か?
文明とは? 環境とは? 生命とは?
宇宙の始まりから人類の運命まで、壮大なスケールの、地球学的人間論。
幅広い話題が展開されますが、どれもこれもまとまりきらない印象。紹介されている個々の技術、知識、仮説はとてもおもしろいのですが、論理の出発点が不明確で、論理展開も粗く、結論が唐突に出現します。紙幅が足りないために説明しきれていないのかもしれません。結果として散漫で、読後に印象が残らない本でした。
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