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『女学校と女学生』稲垣恭子

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稲垣恭子
中公新書
2007.2.25
819円

★★★★☆

 『少女小説から世界が見える』に続きこの本もとても興味深く読めました。
 「百合小説を楽しむなら背景として読んでおけ!」と押し売りしたい一冊。とくに書くことを楽しんでいる側の人には強くお勧め。

 章立てを引き写してみます。

  • 序章 女学生とは
  • 第一章 文学少女
  • 第二章 女学生の手紙の世界
  • 第三章 堕落女学生・不良少女・モダンガール
  • 第四章 ミッション女学生
  • 第五章 「軽薄な知」の系譜

 この構成に惹かれた人は期待通りに楽しめるはず。特に第二章は当時の手紙の引用などもあって、読んでいて気恥ずかしくなるような女学生文化の空気が感じ取れると思います。女学生文化につきもののエスという関係についても書かれ、そっち方面の情報を求めている人には巻末に付されたたくさんの参考資料一覧とともに良いガイド役になるはず。
 第三章以降は華やかなばかりではなかった女学生文化の側面が取り上げられるます。富国強兵策を取っていく日本の歴史とは切り離せないものでもあり、学問の大衆化も伴って現代の香りが強まる憂鬱な話が増えていきます。
 文は全体に中公新書らしい淡々とした語調ですが、戦中・戦後に女学生時代を過ごしてきたという母を持つ著者らしい暖かな視点から女学生文化を取り上げているせいか、心地の良い読み物に仕上がっています。

 というわけで読んで良かった一冊でした。関連書籍も一冊積ん読になっているので近いうちに紹介できるといいな。

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