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百合コミックまとめレビュー

最近読んだ百合漫画

 ブログが百合色に偏るのもなんだかな、と百合コミックの感想は書かずにいたのですが、すでに自作小説コーナーは百合一色(2008年4月現在)で、手遅れを悟ってまとめてレビューしておくことにしました。

『乙女ケーキ』 タカハシマコリンクはAmazonへ
 少しサイコで残酷で。でも愛らしい短編集。どことなく四谷シモンの作る少女人形のようなイメージ。
 感想を書くのが難しい作家です。長編シリーズよりも短編の方がキレがあって、かつ、百合ジャンルでは少女性を前面に押し出したのが作風とぴったりマッチしている印象。『百合姉妹』『百合姫』での連載時よりも単行本でまとめて読むとその毒の効き方が素晴らしくてくらくらしてしまいます。幕間に入ったケーキのワンポイントイラストもタカハシマコらしさ満点。
 装丁も素敵です。うっすら苺風味の利いたムースか生クリームかという風合いのしぼの入った紙にカシスジャムを思わせる葡萄茶の帯と題字。タイトルの『乙女ケーキ』そのままの印象です。私的には百合姫コミックスのベスト装丁。雑誌で読んだからいいや、というのはもったいないです。単行本で持っていたい一冊。帯も含めて完成パッケージだと思うので、書店店頭での実物買いをオススメ。ネット書店は帯が外されてたりすることがあります。
『アップル・ディ・ドリーム 1巻』 城之内寧々リンクはAmazonへ
 雑誌『百合姫』で初めて知った漫画家。フリフリの洋服屋で働く女性たちの百合四コマ。ストーリー漫画も描いている人のようですが、四コマの方がリズムがよくて面白いです。表紙がメタリックでホログラム?調の星が飛んでいたりして可愛い。作者公式サイト「なるしすのあ~る」⏎
『楽園の条件』 森島明子リンクはAmazonへ
 『百合姉妹』→『百合姫』とイベントレポート漫画を中心に描いてきて、『百合姫Vol.7』『百合姫Vol.8』あたりで一気に花開いた印象の漫画家。少女たちを主人公にした話の多い百合コミックの中では珍しく大人で社会人の主人公を登場させていて、それがすっきりとしたコミカルタッチの絵柄としっくり。ヒロインの年齢が高めなのと生活感が感じられるせいでか百合というよりレズビアンという語の方が合う気がするのですが、全体的にほのぼのしていて好感触。
 そうそう。一話目の「楽園の条件」では最初長かったサリーの爪が、最後のシーンで切り詰められているあたりに芸の細かさを感じます。作者公式サイト「アキココット」⏎
『GIRL FRIENDS 1』 森永みるくリンクはAmazonへ
 『くちびるためいきさくらいろ』リンクはAmazonへの瞳&奈々を中心とした連作短編で『百合姉妹』『百合姫』を支えてきたはずの森永みるくがなぜか『コミックハイ!』へ移って始めた新シリーズ。こちらも文句なしに面白いのですが、『百合姫』で連載されていた様々な少女たちも魅力的でとても惜しく感じます。
 『GIRL FRIENDS』第1巻の最後はえらく強い引きを設定したところで「つづく」になっててジタバタしたくなるゾ。雑誌では隔月連載のようなので2巻はずいぶん先になりそう。作者公式ブログ「ミルミルム」⏎
『百合姫Wildrose』リンクはAmazonへ
 15歳以下には見せたくない感じ。男性向けポルノほど直截で扇情的ではありませんが。キャッチコピーが「女のコ同士のジューシーLOVEコミック」で、ジューシーってなんやねん、と突っ込みを入れたくなります。アンソロジー形式で作家陣は宮下キツネ、水野透子、CHI-RAN、三国ハヂメ、森島明子、城之内寧々、早瀬羽柴、南咲いく、時津風おとは。
 同じコンセプトで次を出すなら『少女セクト』リンクはAmazonへの玄鉄絢も参加してほしいなー。一迅社⏎
『かわいいあなた』 乙ひよりリンクはAmazonへ
 純正少女漫画風の百合恋愛短編集。『百合姫』登場時には新人かと思ったのですが、少女漫画誌に読切を掲載していたこともあるようです。よくぞ発掘してきた百合姫編集部。最初に『百合姫』に短編が掲載されたときは驚きました。画力は安定してるし、完成度高いし、百合のツボを押さえてるし。
 そういえばこの本に収録されている短編“Maple Love”のヒロイン楓を見てなんとなく『動物のお医者さん』に出てくる謎の変温動物菱沼聖子を連想してしまいました。
 P.92かな。「すっごい不安だけど」のフキダシの下の背景キャラ、ここだけ別の人が描いたみたいな感じ。意図的なものだと思うのでなんとも不思議です。
 表紙の画質がなんかぼけ気味だなー、と思ったのですが、これは大幅にトリミングしてるせいではないでしょうか。作者公式「*女の子注意報*」⏎

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