『惑星地質学』
惑星地質学
宮下英昭/橘省吾/平田成/杉田精司
東京大学出版会
2008.1.23
3360円
★★★★☆
昨年11月に『異星の踏査』展を見てきました。(見学記⏎) その『異星の踏査』展用の図録として作られたのがこの本らしいのですが、私が見学に行ったときにはすでに売り切れていて悔しい思いをしました。
それが出版社から改めて再刊されたのが今年1月。気づいたのが3月。少し遅くなりましたが感想を。
日本初の惑星地質学の教科書として使えるように作られた、との言葉通り理系教育を受けていないとちょっと取っつきにくい感じです。対数グラフなどは慣れていないとナニコレ?ですし、文章も必ずしも一般向け科学解説書のように読みやすくはありません、が数式の登場しない本なので、天文や惑星物理に興味があり丹念に読みさえすれば中高生でもおおよその内容は消化できるはず。
しかもカラーの図版が適切に、豊富に使われた綺麗な本です。
ただし、この本の中で書かれている具体的な方法論・研究手法をきっちり正確に理解するには理・工学部の二年生程度の理系基礎教育が必要です。「教科書として書かれた」所以でしょう。
太陽系内惑星探査に興味のある人、買い逃してはいけません。3200円+税とちょっと値は張りますが、充実してます。この内容なら格安です。読み物としては歯ごたえがある感じだけれど、現時点で太陽系内天体に関する本を買うならこの本以外にない、と言ってもいいくらい。
『わなびざうるす』的には、太陽系を舞台にしたハードSFに携わっている人必読、と断言したいです。
いや、むしろ小説を書いているような人には読ませたくないかも。資料として強力過ぎます。
地方の小書店ではまず扱いのない本だと思いますし、機会を逃したら手に入らなくなりそうな気がします。(東大の先生達の本を細々と学生・研究者向けに作る出版社だと思うので)
5/25にはアメリカの火星探査機フェニックスが無事に火星の高緯度地帯に着陸しました。土壌の調査も行われるようで、どんな成果が出るのか楽しみです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント