『最新・月の科学』
最新・月の科学―残された謎を解く
渡辺潤一
NHKブックス
1124円
2008.6.25
★★★★☆
神保町へ出かける楽しみの一つがTAKANOの紅茶。新入荷のダージリン二番茶・セリンボンを飲みながら買ったばかりの本を開きます。
月探査機かぐやの探査結果を反映した本にしてはやけに早いな、と思ったのですが、この本の「はじめに」に書かれている通り
本書の内容は、「かぐや」の最新成果というよりも、「『かぐや』以前の月の理解」であることを、あらためて強調させていただきたい。いままさに「かぐや」による更新が待たれているのだ。
『最新・月の科学』p.10より
だそうです。かぐやの成果が反映された本がでるのは、まだしばらく先のようです。
でも、この本は面白かった。
文章がこなれているとは言えなかったり、幾何学的な説明を文章だけで済ませようとして「?」となってしまったりもしますが、月探査に関する知識がぎゅう詰めになっていて読み応えがあります。アポロ以来最大規模と言われるらしいかぐや探査がどれだけ有意義なものか実感できる良い本ではないでしょうか。
この本くらい詳しくまとまった火星の本があると面白いのに。
読み終えて一番に思ったのは「LUNAR-Aが実現していれば……」でした。
月ペネトレータであるLUNAR-Aには地震計が装備され、かぐやの重力分布調査と合わせて月の内部構造解明への強力な一歩になったはずなのに。ペネトレータ開発が遅れ、LUNAR-A母船が老朽化してしまっての中止だなんてもったいなさ過ぎです。
2010年代に計画されている次期SELENE(かぐや)が楽しみになる一冊でした。
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