『澄江生物群化石図譜』
澄江生物群化石図譜―カンブリア紀の爆発的進化
朝倉書店
X・ホウ他著/大野照文他訳
9975円
2008.3.20
★★★★☆
しばらく前に神保町に行った折、この本も買っておりました。ほぼ一万円の本ということで春以来悩んでいたのですが、ようやく決心をつけました。書名的には『バージェス頁岩 化石図譜』と姉妹本のようですし、邦訳出版社も訳者チームも同じですが、原著は互いに関係のない本のようです。原題も『バージェス頁岩化石図譜』は“LIFE”でこちらは“THE CAMBRIAN FOSSILS OF CHENGJANG, CHINA”です。
澄江の読みはチェンジャンなんですね。
値段も、満足度も高かったです。
カンブリア紀の生物に関する知識はまだ混乱の真っ最中らしく、例えばアルコチュバ・コノイダリスというホーンのようなシルエットを持った生物はヒオリテス(これまた謎の三角形のポリンキーのような生物)に固着しているように見える標本があるのに穴掘りをする生物の一種だとする説が紹介されていたり、クラゲみたいに見えるエルドニア・エウモルファという生き物が底生生物説とクラゲ型浮遊説があったり。
化石写真と復元図が並べられている物には「この化石からこんな復元できちゃうのか」と驚かされます。
ヘンテコな生き物がぎっしり200ページ以上詰め込まれた図鑑サイズの本です。価格的にも内容的にも『バージェス頁岩化石図譜』よりはずっと専門的ですが、カラー写真が豊富(ほぼ半分のページが写真で占められる)なので目で見ても楽しめます。
ですが、やっぱり
硬皮は稜で縁どられている.硬皮の携帯はさまざまで,小さな標本では腹側が尖ったV字形で幅は狭いがより大きな成体では盾形に近い.対になった硬皮は背側で接しているように見える.ただし,最近背側へ伸びて正中線をまたいでいると解釈できるかもしれないとの指摘もされている.
こんな感じの説明が延々と続くので、楽しく眺める本というよりは研究者や重度のマニア向けかも。眺めて喜んでいるだけの私にはもったいない本だったかもしれません。
そうそう、どうでも良いような話ですが。本の中に出てくる「化石保存庫」という用語。これ日本でもlargerstätten(化石ラーガーシュテッテン)とそのまま使われてきた地質用語だと思うのですが、ドイツ語のままの方が絶対格好いいと思うのです。
書誌情報と並べた写真は『恐竜のおりがみ3』(川畑文昭)に折り方の載っていたアノマロカリス。本の真似をして立体感を出そうと曲げてみたらヨレヨレの失敗作になってしまいました。「新・おりがみランド」というシリーズの一冊で、他にもオパビニア、ディプロコウルス、四枚の紙を組み合わせて作るティラノサウルスの頭骨etc...etc...が載っています。難易度はほどほどだけれど見映え良く折るには技術が必要そう。
恐竜折り紙本記事
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