『バイオミネラリゼーション』渡部哲光
バイオミネラリゼーション―生物が鉱物を作ることの不思議
渡部哲光
東海大学出版会
4410円
1997.2.20
★★★☆☆
貝殻や骨などの生物の作る鉱物についてまとめられた本。1997年刊なので少し本の雰囲気は古いですが内容面では今も十分に新しそう。零細研究ジャンルのようですし。
意外な世界が垣間見れて楽しめた本でした。真珠層の形成が電子顕微鏡で見ると渦巻きだったり(写真参照)、ハノイの塔風だったり。シンプルな化学式も登場しますし、生物系大学生向けの印象ですが、読み物として接しても十分に楽しめると思います。大きめの図書館にはあると思うので見かけたらぱらぱらと覗いてみてはいかがでしょう。珪藻や放散虫、有孔虫の骨格には自然の不思議を感じられるはず。
★の数が少なめなのは一般向けとしてはあまりにも偏ったジャンルなのでお勧めしにくいため。専門の方は教科書としてすでに持っている気がしますし。
より新しい類書では『バイオミネラリゼーションとそれに倣う新機能材料の創製』という68,000円の本も存在するようなのですが、この値段ではとても買う気にならず、地元の図書館にもありませんでした。残念。
上掲載写真は真珠層の形成解説ページと手持ちのアンモナイトです。虹色に有色効果が見えているのはオパール化アンモナイトだから――ではなく表面を削って内側の真珠層を剥き出しにしたものだから。アンモナイトも内側はアラレ石?方解石?の真珠層を持つものが多いようで、軽く表面を削ってやるとピカピカの虹色になります。科学的な標本としてはNGですが、お土産としては真珠層が見えていた方がキレイ。本来は下半分に覗いているようなフラクタル模様の縫合線で覆われていたようです。
右はミネラルショーで撮影してきたマダガスカル産のオパール化アンモナイト。写真だと色が気持ち悪い気もするのですが、実物はもっときれいです。50~60cmあったかな? これは元々の殻自体は「バイオミネラリゼーション」ですが、オパール化はアンモナイトが死んでからのものなので「バイオミネラリゼーション」ではありません。
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