『カンブリア爆発の謎』宇佐見義之
カンブリア爆発の謎~チェンジャンモンスターが残した進化の足跡
宇佐見義之
技術評論社
1659円
2008.4.25
★★★★☆
良い本でした。
表紙の印象から「子供向け?」と思って後回しにしていた本だったのですが、読んで印象が一変しました。文章は平易で中学生くらいでも問題なく読めますし、イラストも豊富で「知りたい!サイエンス」なんてシリーズにぴったりの体裁で内容もぬるそうな印象ではあるのですが、実際はカンブリア紀生物の最新の研究成果が盛り込まれた良著でした。あちこちからツギハギの最新情報を寄せ集めた本ではなく、最新の研究の流れ自体をとらえた「先端科学に触れる楽しみ」を味わわせてくれる本です。この本と『澄江生物群化石図譜』(感想記事⏎)をセットで読むのがおすすめ。『カンブリア爆発の謎』も図版はそれなりに豊富ですが、カラーの化石写真がずらりと並んだ『澄江生物群化石図譜』のリアリティが加わればより楽しめること請け合い。
興味深かったのが最後の章「コンピュータの中のアノマロカリス」。著者は物理学者でありながら古生物の研究に携わっている人なのですが、その物理学としての生物へのアプローチがとても小気味よかったです。
古生物ファンで未見の方はぜひ。
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