『軌道エレベータ』石原藤男・金子隆一
軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
★★★★☆
※リンクは復刊された早川版で感想は裳華房版のものです。
本の紹介というよりは日記・雑談です。
軌道エレベータのことを調べたくなって持っているはずのこの本を探したのですがどうやら押入の中らしく見つからず。図書館から借りてきました。Amazonはリンク貼った時点では古本が3000円以上とかアホな値段になってますね……。BOOK-OFFならこの年代の本は100円コーナーなのに。宇宙ネタの資料としては評価が高いのに絶版、ということでプレミア価格なのでしょうか。
軌道エレベータは三万キロ超の構造物で重力との戦いがあるために材料がネックとなります。何もぶら下げないケーブルを垂らすだけでも現在の材料では自重でちぎれてしまうのです。ウィスカーとかカーボン・ナノ・チューブとか未来の材料候補は色々ありますが、とりあえず現状では静止衛星軌道と地表を直接繋ぐエレベータは実現不能なようです。
だからSFの素材になりうる、わけなのですが。
『軌道エレベータ』の概要は
- 静止軌道からワイヤー
- 巨大な吊り鈎が降りてくるスカイフック
- その派生型の超音速スカイフック
- 低軌道で中に流体ぐるぐるの軌道リングシステム
- その派生型の部分軌道リング
こんな感じで派生型の解説が少し寂しい気もしましたが、基本的なアイデアの解説と歴史紹介がしっかりしているので軌道エレベータ本の決定版として高い評価が与えられているのも納得です。
ちと脱線ですが英語版Wikipediaやら軌道エレベータ関連で名前の出ている学者のサイトを眺めてみたらPaurl Birch's Pageに軌道エレベータの詳しい記事がありました。論文、というかレポートかな。ポール・バーチはORS(軌道リングシステム)の発案者です。さすが元ネタ。『軌道エレベータ』にも紹介のあった"Orbital Ring Systems and Jacob's Ladders"の原本でした。いいもの見つけました。
オリジナルの軌道エレベータを考えてみようと思って調べ直していたのですが、1997年のこの本以降、新しいアイデアは出ていないようで、ネットを眺めてみても日本語圏では目新しい情報は見あたりません。何の実効性も無さそうな建設計画開始宣言だけ。英語圏の情報は"space elevator"とか"orbital ring"とか"sky fook"で検索にヒットする上位5ページ分くらいはざっと眺めてみたのですが、語学力の問題もあり、今ひとつ有益な最新情報が拾い出せませんでした。基本的にシンプルなアイデアであるだけに、材料の壁があるとそこで進展が止まってしまう、ということなのかもしれません。
2009年12月追記。
最近では破断長が35000km以上なのではないかと言われるCNTも出現しつつあるようです。
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