« とうふZaurus、あるいは消えたデータの影 | トップページ | 紅葉@豪徳寺 »

『NASAを築いた人と技術』佐藤靖

NASAを築いた人と技術―巨大システム開発の技術文化
佐藤靖
東京大学出版会
4410円
2007.5.2

★★★★☆

 興味深い本でした。

 面白かった、というのとも少し違うし、ためになった、でもないしで少し悩んで思いついたのが「興味深い」という言葉。

 文章は少し硬いです。宇宙工学・科学史の学者が論文として書いた物をまとめ一般向けにしたものだそうで、さもありなんという印象でした。内容はタイトルの通り、NASAの組織分析です。脱人格化を迫るシステム工学と人の繋がりを重視する技術者チームとを対比させ、アポロ計画がどのように推進され、成功に結びついたのかを分析します。
 日本のISASやNASDAについても一章を割き、アメリカ型のシステム開発と対比します。

 宇宙技術そのものについての解説ではなく、巨大システム開発において人とシステム工学を対比させた内容なので雰囲気的にはビジネス書や運営論の本に近いかもしれません。よくある「苦難を乗り越えて成功に導いた」みたいなプロジェクトX風でもなく、NASAの組織の分析に終始しているのでドラマたっぷりの展開もありません。(でもフォン・ブラウンはカッコイイ!とも思えた)
 やっぱり「学者の書いた本」かな。

 つくづく「アポロ計画はアメリカだから実現できたんだなぁ……」と感心したのでした。
 科学・技術と科学者・技術者の関わりはどうなっていくのだろう、とも考えさせられる本でした。

|

« とうふZaurus、あるいは消えたデータの影 | トップページ | 紅葉@豪徳寺 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。