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『脳を支配する前頭葉』エルコノン・ゴールドバーグ

脳を支配する前頭葉―人間らしさをもたらす脳の中枢
エルコノン・ゴールドバーグ著 沼尻由起子訳
講談社ブルーバックス
1113円
2007.12.20

★★★☆☆

 面白かったような、そうでもなかったような、微妙な感じでした。

 三章くらいまでは概論的で、あまり具体的な話もなくて目が滑る印象だったのですが、著者の研究が反映され出す四章あたりから面白くなってきます。その一方でやはりと思ったのですが、認知領域の学問にありがちなあやふやさからは逃れられないようで事例紹介はともかくメカニズム説明では「え~、本当に~?」と思ってしまうことも多かったです。
 脳の研究は怪我による機能障害からヒントを得ることが多いようですが、この本でもやはり脳負傷者を対象にした研究が紹介されます。その研究自体は面白いのですが「前頭葉の機能と負傷部位との関連が直接説明できていないんじゃない?」と思ってしまいます。

 なんかこう、もっとスカッと物理学のように明晰な認知モデルが知りたいです。fMRIやCTといった最新の観測手段にしてもニューロンの活動ひとつひとつを追跡できているわけでもなく、負傷による機能阻害による認知メカニズムの推測もやっぱり頼りなく思えます。「意識って何? なんで私は世界を認識できているの?」という問いには到底答えられそうもありません。

 この本の次は『脳研究の最前線』という本に取りかかる予定。

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