『KATAN DOLL fantasm』と映画『イノセンス』
KATAN DOLL fantasm―天野可淡人形作品集
人形:天野可淡 写真:吉田良
エディシオントレヴィル
2007.9
2940円
★★★★☆
映画『イノセンス』では作中でKATAN DOLLをモデルにした球体関節人形風少女型ロボットが登場していました。上映前のプロモーションでも監督がKATAN DOLLを傍らに並べて解説していましたっけ。ストーリー的にも主人公であるバトーが人形ラブっぷりを披露していたりして大多数の視聴者は「え~」と思ったかもしれません。
KATAN DOLLというのは夭折した天野可淡という創作人形作家の作品です。
『KATAN DOLL fantasm』をはじめとする天野可淡の人形写真集は版元出版社の倒産により絶版になっていたものが2007年に復刊になりました。
今回この『KATAN DOLL fantasm』を取り上げたのはその後書きが興味深かったからです。『イノセンス』は恐らく、この『KATAN DOLL fantasm』の後書きに触発されて作られた映画ではないかと思うのです。そう思えてしまうほどに『イノセンス』の内容と『KATAN DOLL fantasm』の後書きのイメージが被りました。
よほど大きな書店でない限り見かけなくなった可淡の人形写真集。ページを開くととても綺麗で美しい人形たちであるのに、どこか異常な、危険な香りも感じ取れると思います。ベルメール以降、日本でも創作人形は“グロテスク”がひとつのキーワードであるようです。“人形”の怖さと魅力を十二分に味わわせてくれる写真集ではないかと思います。ベルメール、四谷シモン、可淡と流れてきた創作人形文化を『イノセント』と組み合わせてみると、人形だけではない別の感慨も得られるのではないでしょうか。
★ ★ ★
上記記事はKATAN DOLLの写真集が再刊された頃に書いたまま保留にして忘れていたものなのですが、もう間もなく(2009.2.25)映画版『スカイ・クロラ』
がDVDやブルーレイで発売されるのを思い出して引っ張り出してきました。『スカイ・クロラ』は劇場で見たときには「空の景色は最高にキレイだけど飛行機の“飛んでる感”が希薄だしお話がつまらんない」と思ってしまいました。プロモ番組でも押井守は「飛行機描写で宮崎駿に勝つ」みたいなことを言っていたのに飛行機らしさでは『紅の豚』に及ばず少しがっかりした記憶があります。改めて自宅で眺めてどう印象が変わるかな。購入予定です。(2009.3.1 感想書きました)
そういえば『スカイ・クロラ』の登場人物たちはキャラデザインが単純化されていてお人形度が強かったかな?
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