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『幽霊列車とこんぺい糖』木ノ歌詠

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ
木ノ歌詠
富士見ミステリー文庫
2007.10.15
588円

★★★☆☆

 一迅社文庫の新刊情報を眺めていたところ『あまがみエメンタール』というのが百合タイトルのようで気になって作者を調べてみたところ瑞智士記という方でした。さらに調べてみたところこの『幽霊列車とこんぺい糖』の作者が改名されたものとわかり「そういえば『幽霊列車』は百合モノで評判良かったんだっけ」と思い出して読んでみました。
 2007年の本だと書店巡りをしてももうなかなか置いてないんですね。探すの面倒になってAmazonでポチ。

 ライトノベルを読んだのは『.period(ピリオド)』(感想)以来かな。ライトノベルなんだな、というのが一番の印象です。直前に読んだ『ハーモニー』は少しラノベ風の空気もあったけれど比べてみればジャンルの壁は意外に厚そうです。『幽霊列車~』は百合モノとしても文句なしの百合度。これがガチでなくてなんでしょう。

 でもなぜか没入しきれなかったのでした。キャラも設定も構成もしっかりしているし文章も読みやすいのに……。なんでだろう。

 主人公であるヒロインは鉄道自殺を試みようとして駅まで来てみたら肝心の鉄道が廃線になっていたという少しドジな少女。もう一人のヒロインは幽霊列車を走らせるのだという少女。ちょっと憂鬱で不吉な設定です。幽霊列車とは何なのか、主人公はなぜ自殺を試みようとしたのか。少しずつ明かされていく謎。

 という感じのお話なのですが、要約していてわかりました。設定と話の重さとライトノベル調の文章、キャラ、台詞の取り合わせに違和感を感じていたようです。好みの問題なのですが、自殺テーマ+百合の展開の中で同性の裸にドタバタ調で赤面する精神的な余裕に抵抗を覚えたのかも。

 でも話自体はとても楽しく一気に読めたので『あまがみエメンタール』も買ってみようと思います。何より百合度に不安なく期待できそうな作者であるのが嬉しい。書誌データに並べたも限りなく四つに近いです。

★ ★ ★

2009.2.22追記
 買ってきました『あまがみエメンタール』。別の本を読んでいる途中なのでまだ軽くチェックしただけですがすごく良さそう。近日中に感想を書きます。(2009.2.25 感想、書きました

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