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百合コミック誌『つぼみ Vol.1』

つぼみ VOL.1
芳文社 まんがタイムKRコミックス GLシリーズ
980円

2009.2.12
★★★★☆

 『コミック百合姫』のライバルとなるべき百合コミック誌の登場です。体裁は大きめのコミックスと同じサイズで、紙質は雑誌とコミック単行本の中間くらい。表紙カバーや帯がついているので見た目は厚ぼったいコミックスです。全300ページちょっと。400ページペースの『コミック百合姫』ほどではないですがボリュームたっぷりです。
 17話も掲載されているので短編がぎっしりという感じ。
 印象は……少女漫画的な雰囲気の強い『コミック百合姫』とは違って濃いめの漫画ファン向けでしょうか。少女向けという印象ではないですが『百合姫S』のような少年向け百合漫画でもなく、う~ん、対象読者層がまだ固まっていない感じかな。恋バナとしては(短めの短編が多かったこともあり)あまり濃厚ではなくて友情百合から恋の始まりまでといった話が中心でした。

 以下、掲載順に短く紹介&感想を。

森永みるく 「ひみつのレシピ」
 開いていきなりキスシーンで「えっ。もしかして全編Wildroseみたいなえちぃノリ?」と期待びっくりしてしまいました。軽いノリのコメディワンシーンという感じ。森永みるくは遊んでる風なロングヘアとマジメそうな黒髪ショートの組み合わせがお気に入りなのかな。後書きによると続編もありそう。
宇河弘樹 「コブリアワセ 上編」
 絵柄がすごく濃いです。とても濃いです。特に背景や小道具がぎっしり書き込んであってこの話のページだけ見ると『アフタヌーン』でも開いたかのよう。表紙には「全編読切」と書いてあり、お話的には一段落したところで終わっていますが明らかに後編があると思われます。「上編」は導入部かな。死んだ母の代わりにヒロインの家へ嫁いできた叔母との話。
久遠あき 「for Roses」
 なぞのバス停の少女。誰かを待ち続けているというその少女に三日間、一緒に人待ちをしようと思い立つヒロイン。その少女は……。と始まるお話。『百合姫』に載っていてもおかしく無さそうな少女漫画的な雰囲気。
小川ひだり 「むねがいっぱい♥」
 コミカル系萌え漫画。「乳」の連呼で突き抜けた感じです。おばかです。おばかで可愛いです。ヒロインの大きな胸に触るのが大好きな親友。でもさすがにスポーツブラでは不都合が生じてきてワイヤー入りブラに切り替えなくてはならなくなったのだけれど親友は触感にこだわって……。
きづきあきら+サトウナンキ 「エビスさんとホテイさん」
 「第一話」とあるのでこれも連載予定なのかな。可愛いキャラデザに力強い線。いかにもきづきあきらだ! できすぎるくらいデキる同僚に反発する主人公。でもその同僚が気になって、というOLモノ。かなりクセのある作家だと思うのですが、波乱満載で面白くなりそう。
きぎたつみ 「ランナーズハイ」
 タイトル通りの陸上部モノ。マネージャーをするユキはかつての友人であったトーコと向き合えなくなってしまっていた。でも……というお話。
はっとりみつる 「LOVEFOOL」
 ウミショーの人かっ! 5ページのワンシーンのみ。うちカラー1ページ。やっぱり水辺のシーンなのでした。
釣巻和 「鳩居的懐古録」
 古めかしい雰囲気の不思議系古道具店。ファニーな感じの絵柄に黒っぽい画面。そしてなんだかシュール。プロローグっぽいかな、と思ったら「第一日目」とありました。百合と言うだけでなくお話自体が楽しめるんじゃないかと期待を抱かせてくれる空気感。
大朋めがね 「ついでのはなし。」
 同性を好きになってしまった子が保健室の先生に相談に。そこで始まる先生の昔話。その昔話がお話の中心でした。
宮内由香 「キャメル」
 片想いをしていた子が彼氏と深い仲になってしまったその時の煙草の味は……。ほんのり切ない雰囲気のお話。
吉田美紀子 「シャーベット」「なんで、もっと」「SEASON」三編
 少しシュールなようなお話三つ。「シャーベット」は潔癖症の子。「なんで、もっと」は終末モノ? 「SEASON」はお魚っぽい?
星逢ひろ 「こころスケッチ」
 ほのぼのとした感じ。小さな恋の物語的なストーリーで絵をテーマに。『つぼみ』は乳もみの話がある一方で上の吉田美紀子のお話やこの話のように『ちゃお』に載っていても違和感が無さそうな物も。
泉結基 「イチゴ日和」
 突然現れた女の子がなぜか猫耳。なぜか以前に飼っていた猫を思わせるところがあり……。猫系ほのぼの話。
水谷フーカ 「この靴しりませんか」
 歯医者で間違われてしまった片靴から始まる出会いの物語。たわいない出来事ではあるのだけれどぴたっとオチがきまってました。
吉富昭仁 「しまいずむ」
 吉富昭仁はフェチ物が好きなのでしょうか。姉妹二組で姉が互いの妹を気に入っている、という話なのですがヘンタイちっくな姉描写がらしいというかなんというか。

 予告段階で名前の挙がっていたナヲコはお休みのようです。次号の予告に名前があるので一安心。
 井上眞改、紺野キタ、むっちりむうにぃといった『百合姉妹』時代に描いていた人たちも登場すると嬉しいのに。
 そういえば久しぶりに『百合姉妹』のVol.1を読み直してみたのですが、掲載本数少なっ! 当時とは状況が違うとはいえ『つぼみ』はよく創刊号からこれだけの作家陣とボリュームを揃えたなとあらためて感心しました。

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