『弱小空軍の戦い方』飯山幸信
弱小空軍の戦い方―枢軸国と連合国に分かれた欧州小国の航空戦
飯山幸信
光人社NF文庫
2007.11.17
960円
★★★★☆
すごい情報量。
第一次大戦前後から第二次大戦に至るまでのヨーロッパ弱小国戦史と用いられた機体の解説を450ページにぎっしり詰め込んだ本。
航空戦というとドイツ、イギリス、ソ連、あとはイタリアと一次大戦であればフランスが表舞台となりそうですが、中欧や北欧の小国もドイツ、ソ連からの圧力や侵攻を排除するために戦ったり、あるいは戦わずして占領されたり、政治を駆使して戦禍を躱したり。
オランダ、ベルギー、ノルウェー、リトアニア、エストニア、ポーランド、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア、スウェーデン、スイス、スペイン、ポルトガル……。
列強に翻弄された国々の話は読んでいて悲しくなってきます。
ソ連の侵攻を阻止すべく奮闘し航空戦史上記録的な撃墜率を誇るフィンランドの話などはミリタリー・マニアの血を熱くすると思うのですが、戦争をせずにはいられない「国家」という存在は何なのだろう、と憂鬱になります。
戦史を中心に綴られる先頭三分の一ほどに対し、残りは各国でライセンス生産されたり独自開発された機体そのものについての詳しい解説です。写真は文庫ということもあってそこそこですが図はそれなりに豊富。フォッケウルフやメッサーシュミット、スピットファイアの陰で少数しか生産されなかった弱小国の飛行機も大戦を戦ったんだ、と感慨を覚えました。
少し残念なのは文章。誤字が少々目に付きました。余話的な話題での誤記も。
でもそんなことが気にならないくらい興味深く読めたのでした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント