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EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX

EGO-WRAPPIN’AND THE GOSSIP OF JAXX
2009.2.18
3000円

★★★☆☆

 二月に発売されたタイトルで今更の感想ですが。
 アルバムタイトル通り“GOSSIP OF JAXX”バンドの演奏に焦点の当たっている印象です。でもちょっと音が多くて雑然とした感じ。演奏技術が抜群のバンドなのでもうちょっとそれぞれの楽器の音色自体をシンプルに聞かせて欲しかった気もします。というのはオーケストラよりも器楽独奏曲が好きな私の我が儘か。
 『merry merry』『ON THE ROCKS!』でも買ってきてしばらくは「新しい方向性はいいけど耳に馴染まないなー」と思いつつも再生頻度は高くていつの間にか定番再生ディスクとなっていました。今回の『EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX』は……一聴してやはり「う、合わない」という曲もあったのですが、半年後には再生トップ10に含まれてたりして。
 そして予想通りEGO-WRAPPIN'でBEST WRAPPIN'と並んで再生頻度の高い曲になってます。(2009.11.28)

 今回収録の「GO ACTION!」は新録音。
 「だるい」は聴いているとアンニュイというか「だーるーいー」気分に。
 「雨のdubism」はなんだか昔懐かしい雰囲気の音。これは好き。
 「下弦の月」も好きな感じの曲。バンドネオン大好き。ぽわわんとした金管の低音はユーフォニアムというのか。

 愛用のSTAX SR-001MK2Amazonとは少し相性が悪いようで残念。これまでのアルバムやベスト盤に比べるとものすごくクリアな音作りの録音ですが、それでも楽器の音が重なる部分がおだんごっぽく聞こえる部分があったり。う~ん。STAXの上級機欲しいなぁ。

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『愛しをとめ ~君がこころは~』

愛しをとめ 表紙&帯 カバー下には四コマ愛しをとめ ~君がこころは~
高橋依摘
一迅社百合姫コミックス
2009.5.18
900円

★★★☆☆

 帯の惹句に「この純潔、貴女さまに捧げます――。やんごとなき姫君のミダラなラブ&H」とありますが同社の『百合姫Wildrose』と比べると「ミダラな~」からイメージするほどにはお色気一辺倒ではなく、割とほのぼのというかあっけらかんとした雰囲気の8+1話にラブシーンといった感じです。濡れ場描写はシーンとしてはかなりどぎついはずですし、ストーリーも本来なら重めに感じそうな内容なのですが、絵柄のせいかキャラのせいかポップな雰囲気。とはいえ明確に性描写があるので私の感覚では18禁に近いです。
 舞台は平安っぽいですが、キャラクターはイマドキ風。でも背景や小物などいい感じに平安してる気がします。着物の柄も背景に咲いている少女漫画的な飾りの花も和物で統一してあったりして。

 ヒロインは貴族の姫君@ギャル風。同居する従姉妹の桜姫が大好きで、ノリノリな感じで困難を乗り越えていきます。ところがある日、桜に帝から後宮に入るようお召しが! どうなる! というお話。

 ふと思ったのですがタイトルは「いとしおとめ」と読むのでしょうか。「かなしおとめ」?
 「君」は「あなた」ではなく帝のこと……ですよね。たぶん。

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『オトメの祈り』川村邦光

20090527_01オトメの祈り―近代女性イメージの誕生
川村邦光
紀伊國屋書店
1993.12.15
1880円

★★☆☆☆

 先に読んだ『オトメの行方』で未消化感があり同シリーズ一冊目であるこの本を図書館から探して読んでみました。結果、やっぱりすっきりしません。

 『女学世界』という明治~大正期の雑誌を対象に“オトメ”という一種の理想の少女像があったのだと豊富な例を引いて説明します。その“オトメ”を構築した観念的な空間を“オトメ共同体”とし――これは現代であれば“オトメ仮想空間”とでも呼ばれ、“オトメ”は“バーチャル乙女”とでも呼ばれたかも。

 “オトメ”や“オトメ共同体”については記述が豊富であったのでイメージは掴めた気がします。が、わかってみるとそれほど独特なことでも新しいことでもなく、

  • 題材に『女学世界』という雑誌を取ったこと
  • “オトメ”という表記にこだわったこと

がこの本ならではの特徴であったようです。本当に必要なの?と思うような独特の定義の用語や、哲学や心理学、自然科学などの他ジャンルの用語の意味・用法を独自拡張してしまっている部分に「エッセイ」というか「かんそうぶん」のような印象を受けてしまいました。

 評価が辛めなのはたぶん文章がなんとなく肌に合わなかったから、だと思います。読んでいて理由のよくわからない反感のようなものが湧いてしまったので公平な評価ではないはず。内容面では良書の部類だと思います。

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『ゾルンホーフェン化石図譜〈2〉』

ゾルンホーフェン化石図譜〈2〉脊椎動物・生痕化石ほか
K.A.フリックヒンガー著 小畠郁生監訳
朝倉書店
2007.7.10
12600円

★★★★☆

 Ⅰ巻に続いて見応えがありました。
 目次を引用してみます。

  • 地質的特徴・化石化作用・クリーニング
  • 脊椎動物
    • 魚類
      • 軟骨魚類
      • 軟質魚類
      • 全骨魚類
      • 真骨魚類
      • 総鰭類
    • 爬虫類
      • カメ類
      • 魚竜類
      • 長頚竜類
      • トカゲ類
      • ムカシトカゲ類
      • ワニ類
      • 恐竜類
      • 翼竜類
    • 鳥類
  • 歩行跡と痕跡/プロブレマティカ

 こんな感じですが、恐竜やトカゲ、長頚竜はほんのちょっとで魚、カメ、翼竜の紹介が多かったです。紹介されている標本はどれもすばらしく綺麗で鮮明なものばかり。程度の良い化石をこれだけ連発できるのはさすがにゾルンホーフェンという感じです。
 気に入ったのは生痕化石。跡を残した主とともに化石になっている標本が取り上げられていて「よくこんなの残ったな」と思う物ばかり。
 軟骨魚も面白かったのですが、これは現生の近縁種の姿をネットで調べつつ対比するとどんな生き物であるのか実感が湧きやすかったです。ギンザメとかカスザメとか名前だけで姿を思い浮かべられる人はそう多くないと思うのでオススメ。
 最後の「プロブレマティカ」というのは正体不明の問題化石のことだそうです。確かに何が写っているのかさっぱりな感じの物ばかり。

 文章は所々意味が汲み取りにくかったりしてビミョウ感漂ってしまうこともあって少し残念。たくさんの本を出している監訳者がついていて、一万円以上する本なのだからもう少しがんばってほしかった。

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『明治のお嬢さま』黒岩比佐子

明治のお嬢さま
黒岩比佐子
角川選書
2008.12.10
1575円

★★★☆☆

 鹿鳴館時代に子供であった、あるいは鹿鳴館以後に誕生した明治期の令嬢、とくに華族の令嬢を中心に「お嬢さま」の姿を浮かび上がらせようとした本。なのですが、少しもどかしい印象でした。
 明治という時代の説明。令嬢たちの通った華族女学校。『婦人画報』で紹介される華族令嬢たちの姿。華族の生活ぶり。当時の女性の「美」に関する感覚。皇室への輿入れ――。
 何かが足りないような。そう。当の“お嬢さま”自身の視点が、感覚が不明なのです。皇室へ嫁いだ鍋島伊都子の本人の手による記録があり、お嬢さま自身の言葉が紹介されますが、それ以外は基本的に当時の華族令嬢をとりまく環境の解説が中心です。
 巻末「おわりに」に

 明治という時代が始まったのが百四十年前。急速に近代化を進めていった日本の社会で、いわゆる「上流階級」の女性というのはどういう存在だったのか。歴史の中で、男性の姿は見えても、女性たちの姿はなかなか見えてこない。

黒岩比佐子『明治のお嬢さま』p.258

 と書かれているとおり、当時の等身大のお嬢さま像を再現できるだけの資料がなかったのでしょう。“お嬢さま”本人とは少し距離を置いた印象でした。
 男尊女卑の時代でもあったために当時の「蓄妾」や女性差別、自由とはほど遠い結婚などに対して通奏低音のように批判的な気配が漂います。共感はできるけれど『明治のお嬢さま』について知りたかったのであって、当時の男尊女卑的文化批判が読みたかったのではなかったんだけどな、と思ったのでした。
 百五十人もいる使用人、厨房から百メートルも運ばれてくる食事、大きすぎて公共建築物にしか思えないお屋敷。「へえぇ」と感嘆せずにはいられない当時の生活ぶりが資料から示されます。“お嬢さま”を取り囲んでいた時代と環境を知りたい方にお勧め。

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『文章のみがき方』辰濃和男

文章のみがき方
辰濃和男
岩波新書
2007.10.19
819円

★★★☆☆

 ついつい手に取ってしまう文章読本。
 この著者には『文章の書き方』という本もあってこちらも読んで「おもしろかった」という記憶はあるもののすでに内容が思い出せなかったりします。

 『文章のみがき方』では全部で38の項をもうけ、それぞれで冒頭に文章の大家たちの言葉を引き、何が大切であるのかを示していきます。

  • 辞書を手元におく
  • 自慢話は描かない
  • わかりやすく書く
  • 落語に学ぶ

等々。挙げられている項目は概ね「そうそう」と頷けますし、有用なアドバイスではあるとは思うのですが、この本を読んでも文章は磨けないかも。実践のハウツーではないのです。心構え的なものが示されています。メンタルな目標は大事な宝物になりうる可能性もありますし、文章を書くってそういうことのような気もするのですが、でも実際に文章の上達に必要な事ってトレーニング――実践的な鍛錬教材や具体的な鍛錬法だと思うのです。
 だって、大切な事が書いてあってもそれだけだとすらすらと読んで「いいな」と思って、でも、忘れてしまう。

 読む事を楽しむ文章読本としては、とても良かったです。筆者が挙げていることが確かに実践されている読みやすく、面白い“文章読本”でした。

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『オトメの行方』川村邦光 

『オトメの行方』他数冊 オトメの行方―近代女性の表象と闘い
川村邦光
紀伊國屋書店
2003.12.28
2310円

★★☆☆☆

 あまり楽しめなかったです。

 『「少女」の社会史』の参考文献にこの著者の“オトメ”シリーズが挙げられていたので読んでみたのですが、こちらの関心のあった時代とこの『オトメの行方』が対象とした時代でズレている部分も多く、戦後の話は読むのが辛かったです。
 本の概要としては巻頭「はじめに」の項にあった

中心となっているのは、一九二〇年代から七〇年代にかけてである。若き明子やモダンガールに連なると思われるいくつかの系譜をたどるとともに、オトメという概念を基軸にして、女性の身体やセクシュアリティがどのように語られ表象されていったのか、女性自身の言葉やメディアの語りのなかから探ってみたい。

川村邦光『オトメの行方』p.23より

 この一文が内容を示していました。
 シリーズ他巻を読んでいないためかこの本の中で使われる“オトメ”や“オトメ共同体”の定義がしっくりときません。“オトメ”像を示す例はそれなりにあるのですが、挙げられていた例に一般性があったとは思えず、また「印象」を説明の材料にしている部分が多く『「少女」の社会史』で見られたようにデータを論拠としていないためにエッセイでも読んでいるような気分になってしまいました。
 シリーズの三冊目だけ読んだたけで印象を固めてしまうのも不公平に思われるので、オトメシリーズの一冊目である『オトメの祈り』を探してみようと思います。

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『つぼみ』Vol.2

つぼみ VOL.2
まんがタイムKRコミックス GLシリーズ
2009.5.12
980円

★★★★☆

 掲載順に短く感想など。

 

ナヲコ 扉イラスト
 イラスト2ページ。次号予告にも名前があって嬉しかったり。
吉富昭仁 「しまいずむ」その2・その3
 『つぼみ』での吉富昭仁は変態おばか路線で行くようです。百合がどうこう以前に姉二人のおばかさ加減に笑ってしまう。新聞紙で作った衣装でファッションショーをする妹たちに変態姉sは大喜び。
宇河弘樹 「コブリアワセ」下編
 こ、これは「村は死によって包囲されている」と長大な続編ができそうな。いえ、今回できっちり落着している話です。この作者は絵柄的にも民俗っぽいアプローチのものが似合うかな? “こぶりあわせ”の習俗とヒロイン二人の関係構築がもっとがっちり絡んでいるとより「らしい」かもなんて思ったのでした。
関谷あさみ 「∞遠点」
 出戻ってきたできすぎる姉と妹とのお話。「わかったぞワトソン君」「なにがやねん」と一人でセルフ突っ込み入れるのは関西人キャラのデフォなのでしょうか。
きづきあきら+サトウナンキ 「エビスさんとホテイさん」第2話
 盛り上げストーリーの組み方がうまいっ。OLの日常的な要素で見事に抑揚を出してぐいぐい読まされます。
小川ひだり 「愛の研究」
 前号で乳ネタを炸裂させていた作者。今回はマッドサイエンティストな先輩の作った薬の実験台になる女の子の話。「男の子になるクスリ」って百合ネタとしては際どいところです。
宮内由香 「胸の炎」
 前号の「キャメル」より絵がずいぶん進歩している印象。タイトルページは絵だけでぐっと来てしまいました。片恋路線が得意なのかな。
裏次郎 「つんぺろ」
 犬耳モード。ツンデレの委員長が犬好き娘の世話を焼くのだけれど、このギリギリ感は。
大朋めがね 「ピンク色」
 なんとなく映画『櫻の園』を連想しました。新しい方じゃなくて1990年の。
天乃タカ 「つばきごと」
 疫病祓いの椿祭り。『つぼみ』はこういう民俗的なネタがしっくりくる描き手が強みかな。良かった。
水谷フーカ 「オオカミの憂鬱」
 「わたし女の子が好き! 女の子もわたしが大好き!!」のセリフがツボでした。なんておばか、いえ惚れ惚れするくらい自己肯定的なんだろう。「なんぴとたりとも」とか『キリン』か『F』かというノリだったり。前回の「この靴~」とは雰囲気一転。
吉田美紀子 「Gift」「Scent of Sweet」「オチョー夫人」
 短編三つ。この作者は芸の幅が広そう。ファンタジックなものと日常的な雰囲気と四コマ風ギャグと。
森永みるく 「ひみつのレシピ」2ページめ
 Vol.1から少しだけ眼鏡部長の心理設定が変わったかな? らぶらぶ展開まではけっこう引っ張れそう。
玄鉄絢 「星川銀座四丁目」
 良い感じのまとまりがあったエピソード。『S』に描いている話よりしっくりきた。雨に煙ってるカバー絵も雰囲気が良。

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『リスランタンプティフルール』さかもと麻乃

リスランタンプティフルール
さかもと麻乃
まんがタイムKRコミックス エールシリーズ
2009.5.12
650円

★★★☆☆

 予備知識なしで手にとって開いて数ページ。
 「あれ? ここ回想?」といきなり迷子になったりもしましたが、ほのぼのとしたお話でした。舞台は少しカントリー風味の入ったお嬢様校。リスガーデンと呼ばれる中庭の花畑の世話係に任命されたヒロインは――、という連作短編集。
 百合漫画関連の話題で幾度か目にしたタイトルですが『百合姫』掲載漫画のような真っ向恋愛ではなく、友情寄り・夢いっぱいの女子校物といった雰囲気でした。

 一冊で完結していますが、もうちょっと続いても良さそうな感じではありました。掲載誌の休刊に合わせて一巻分で終了させたのかな。

 花をテーマにしたお話ということで、ちょうど文庫で出された吉屋信子の『花物語』を思い出しました。

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SONY VAIO type P その10・Win7RCクリーンインストール

 前回のtype P+Win7RCの記事でクリーンインストールがうまくいかなかったと書きましたが解決しました。
 リカバリディスク1枚目にある

"\DATA\2008\12\CN_20081204000000000000000000027\0000036214.APP"

をmod2wimでマウントすると中に

"\data\2008\11\JP_20081125000000000000000000018"

というフォルダがあるのでその中にSONY Shared Libraryが入ってます。マウントの際に拡張子app→wimに変えてやればOK。他のツールはmod2winで普通に取り出したツール類の中にありますし、省電力設定とアキュポイントは最新版がSONYのサイトにあります。最初にSONY Shared Libraryをインストールして一度再起動をかけておけば、他の機能も問題なくインストールできました。
 2chのノートPC板にあった書込が参考になりました。

 そうそう。Vistaがインストールされている状態でクリーンインストールをすると「windows.old」フォルダの中にドライバ類がバックアップされるのでSony Firmware Extention Parser Driver(これが入っていないとバッテリエラー警告が出る)などはそっちから引っ張ってきた方がらくちんです。

 アップグレードではない新規インストールで何が変わるかというと……あまり変わり映えしません。

★ ★ ★

 SP2で 軽くなったというWindows Vista。ネット上では「Win7と同じくらい」という方もいるので気になったのでVistaに戻し、SP2をあててみました。
 結果、

SP1と大差なかった。
Win7RCの方が快適。

という印象となりました。大幅なパフォーマンスアップではなく細々とした修正や新規格への対応などが主なようです。

  • Vista SP1→SP2では気持ちエクスプローラの反応が良くなる。
  • Win7ではバックグラウンドで動く処理がVistaSP2比でも優秀。ReadyBoostやSuperFetchなどHDDモデルの人は文句なしにWin7の方が快適。この部分はVistaSP1→SP2ではほとんど変わらない印象。
  • サスペンドや休止状態からの復帰はWin7の方が断然速い。
  • Win7のMediaPlayerは少々不安定。動画を活用する人は現時点ではVistaの方が良さそう。
  • Vistaに戻して気づいたのだけれどWin7だと液晶の輝度調整が大雑把にしかできていなかった。

 Windows7正式版は2009.10.22に登場する予定だそうです。

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『少女の友』創刊100周年記念号

『少女の友』創刊100周年記念号 明治・大正・昭和ベストセレクション
実業之日本社
2009.3.21
3990円

★★★★☆

 『少女の友』という雑誌は明治~昭和前半の女学生文化の話ではよく登場する雑誌で、タイトルや表紙写真くらいは知っていましたが、その中身はあまりよくわからないまま、断片的な知識のみで想像していました。が、先日本屋で見覚えのある中原淳一のイラストの表紙が平積みになっているのに遭遇。4000円近い価格に躊躇しましたが、百周年記念の復刻だそうで今後同じような機会がもう一度あるかどうかわかりません。
 MicrosoftのBluetoothマウスの実物が予想外に大きくて購入を見送って(と自分に言い聞かせ)こちらを買ってしまいました。

 装丁はソフカバー調で化粧箱入りです。

 内容は副題に書かれているとおり過去の復刻が主なのですが、『少女の友』と関わりの深い文筆家たちから寄せられた文章や、廃刊から50年以上を経ての読者同窓会「友ちやん会」の復活レポートが掲載されていました。当時の読者なのでおばあちゃんばかりなのは当然ですが、誌面に登場したそれらの人々が今もしっかり“少女”であり続けていることの窺え、「なるほどこれが少女ネットワーク」と先日読んだ『「少女」の社会史』を振り返ったのでした。
 復刻の内容は川端康成の「乙女の港」連載第一話や吉屋信子の短編「小さき花々」、村岡花子の「友情論」と刊行当時の人気記事を集めているようです。

 中でも驚いたのが読者コーナー。こういうことを言うのはなんですが、現代の少女たちでは到底太刀打ちできない教養の密度です。勉強自体は、あるいは教育制度の整っている現代の少女に分があるかもしれませんが、文章力の差は圧倒的、詩歌や書に積極的に取り組む姿勢も比較にならないレベルで、教養主義の最前線に立ちつつ、少女にも愛された雑誌だったのだなと溜息の出る思いでした。

 女学校出身のおばあさまのいらっしゃる方、本の存在を教えて差し上げると喜ばれるかもしれません。

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SONY VAIO type P その9・Windows7RC

 Windows7βで登録したメールアドレスにWindows7RCの案内が来ていて5日にはサイトからダウンロードできるようになっていました。日本語版もあり、type Pに試してみました。
 Vistaクリーンインストール状態→Win7RC上書きインストールです。

VAIO type P + Windows7RC

  • 店頭モデル標準状態よりは相当に軽快
  • Vistaのクリーンインストール状態+軽快化設定との比較だと操作感の差はそれほど大きくない
  • 実用にはつらいけれど一応Aeroも動いた
  • 十分に安定している
  • 「休止状態」への移行が速やか
  • type P+Win7RCクリーンインストールは面倒(type P固有ツールの抽出は『店長のつぶやき日記』様を参考にしましたが 1)Sony Shared Libraryが行方不明 2)インストーラが互換モードでもうまく動作しないもの複数 と挫折しました。※クリーンインストールでもうまく行っている人もいる模様 →解決しました5/9記
  • Vista→Win7RCの上書きインストールは数時間がかかる
  • 上書きインストールならばVistaで使えていたtype P固有機能は問題なく動いている様子
  • VAIO Updateは現時点では機能せず
  • 新規インストールだと正味20分
休止状態 電源
復帰 休止
42秒 32秒 1分24秒 30秒

 上表は店頭モデル・ReadyBoost有でのWin7RCでの結果。起動時間は一定しない感じ。
 休止状態はWin7βからでも大幅に改善された印象です。Vistaでは休止も復帰も1分コースでした。

 インストールしてみたソフトは

  • 一太郎2008、ATOK2008
  • 秀丸
  • 秀丸メール
  • adobe reader
  • Foxit PDF iFilter
  • EBWin

程度で特に動作に問題の出たソフトはありませんでした。

 とても印象が良かったのでこのままWin7RCで使用し、製品版が出たら乗り換えてしまおうと思います。

 おまけ。
 Windows7には「XP互換モード」なるものがあると知って動かしてみたいと思いました。これ、VirtualPC+WinXP環境の事でWin7RC版ではVPCとWinXPのイメージを丸ごとMicrosoftからダウンロードして使う事になります。
 ですが、いざ動かしてみようとしたところVirtualPCの最新βが動きません。
 CPUのVT命令が必須という事でtype PのCPU「Atom Z520」自体は対応しているはずなのですが、BIOSでこの命令が無効化されているらしく最新VirtualPCは動きませんでした。がっかり。

★ ★ ★

ELECOM type P専用セミハードケース type P用のインナーケース、もう一つ買ってみました。今回買ったのはELECOM type P専用セミハードケースというやつで、先日買った低反発スポンジのZEROSHOCKより厚みは微増、縦横寸はわずかに小さくなりました。ぎりぎりサイズの愛用バッグへの収まりがよくなりました。
 写真左よりがZEROSHOCK、右よりがセミハード。Buffaloからも似たtype P用セミハードケースが出ていたのですが店頭で見比べたところBuffaloのはサイズがわずかに大きめでした。
 う~ん。もっとタイトフィットで、頑丈なケースは出ないかな。キズ防止ではなくて押しつぶされて液晶をクラッシュさせないための容れ物が欲しいです。

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映画『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ
出演: サチ・パーカー、高橋真悠 監督:長崎俊一

★★☆☆☆

 コレハチガウ。

 梨木香歩の原作『西の魔女が死んだ』を映画化した作品で、今回初めて見てみました。レンタルです。
 原作をそこそこ忠実に追ったシナリオ。おばあちゃん役のサチ・パーカーはなかなか良いキャスィング。
 なのに――。

 空気が、違う。

 第一に映像が美しくない。森の緑が美しくない。映画館で見なければいけなかったのかもしれないけれど、でもこの緑はいかにも「綺麗に撮れていない映像の色をいじって緑を派手にしました」的。
 たぶん、ロケ場所と季節の選定が悪かったのだろう。“おばあちゃんち”の建物自体はそんなに悪くない。適度におんぼろで、適度に洒落ていて。映像映えしていた。
 スポンサーに自動車メーカーでも使ったのだろうか。おかあさんの“グリーンのミニ”がつまらない車に変わっていたのも雰囲気をぶちこわしていた。原作でイメージされていたのは日本の田舎にある小英国ではなかったのだろうか。イギリスの湖沼地帯を思い描いていた私には、しっとりとした陰の感じられない、ファンタジー調を演出しようとして失敗している色調にがっくりきた。
 がっくりは続いた。主人公のまいはモノローグが少ないせいか繊細な心の持ち主から繊細さが抜けて単なる登校拒否児にしか見えなかった。“にやり”とする魔女笑いはどこにいってしまったのだろう。郵便屋さんもゲンジさんもキャラクターが派手でちぐはぐだ。
 原作を知らなければ「なかなか面白いかも」と思えたかもしれないが、梨木香歩の世界を再現できていなかったのが原作ファン的に残念だった。

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