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映画『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ
出演: サチ・パーカー、高橋真悠 監督:長崎俊一

★★☆☆☆

 コレハチガウ。

 梨木香歩の原作『西の魔女が死んだ』を映画化した作品で、今回初めて見てみました。レンタルです。
 原作をそこそこ忠実に追ったシナリオ。おばあちゃん役のサチ・パーカーはなかなか良いキャスィング。
 なのに――。

 空気が、違う。

 第一に映像が美しくない。森の緑が美しくない。映画館で見なければいけなかったのかもしれないけれど、でもこの緑はいかにも「綺麗に撮れていない映像の色をいじって緑を派手にしました」的。
 たぶん、ロケ場所と季節の選定が悪かったのだろう。“おばあちゃんち”の建物自体はそんなに悪くない。適度におんぼろで、適度に洒落ていて。映像映えしていた。
 スポンサーに自動車メーカーでも使ったのだろうか。おかあさんの“グリーンのミニ”がつまらない車に変わっていたのも雰囲気をぶちこわしていた。原作でイメージされていたのは日本の田舎にある小英国ではなかったのだろうか。イギリスの湖沼地帯を思い描いていた私には、しっとりとした陰の感じられない、ファンタジー調を演出しようとして失敗している色調にがっくりきた。
 がっくりは続いた。主人公のまいはモノローグが少ないせいか繊細な心の持ち主から繊細さが抜けて単なる登校拒否児にしか見えなかった。“にやり”とする魔女笑いはどこにいってしまったのだろう。郵便屋さんもゲンジさんもキャラクターが派手でちぐはぐだ。
 原作を知らなければ「なかなか面白いかも」と思えたかもしれないが、梨木香歩の世界を再現できていなかったのが原作ファン的に残念だった。

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