『季刊エス』27号2009Summer
季刊S (エス) 27号 2009 Summer
飛鳥新社
2009.6.15
1300円
★★★★☆
「百合の薫り」特集ということで買ってみました。
『季刊エス』を買ったのは初めて。コミック系イラスト雑誌、なのかな。180ページのうちの17ページだけがモノクロであとは全部カラーでイラストがいっぱいの綺麗な雑誌です。
お目当てのインタビュー記事は志村貴子の『青い花』、タカハシマコの『乙女ケーキ』
、いけだたかしの『ささめきこと』
、平尾アウリの『まんがの作り方』
を特集。どの記事も面白かったですが、メディアへの露出が少なめのタカハシマコの記事が一番興味深かったです。『オクターブ』
や『GIRL FRIENDS』
の作者インタビューも並んでいると現代百合漫画事情がきれいに網羅された印象になったかも。
インタビュー記事はどれもけっこうなボリュームがあり、話題も多岐にわたっているので読み応えがあります。百合創作をするにあたって何を考えたかとかこれからどんなものを描いていきたいとか。少女像、というのはどの作家にも共通する話題かな。
志村貴子の記事では『青い花』個別のキャラクターに沿った話にボリュームが割かれていました。
タカハシマコの記事では『乙女ケーキ』の表紙&収録作のラフが掲載されていてそれが仕上がりの絵とはまったく印象の違うポップな四コマ調……てるてる坊主っぽい絵でそのギャップに驚きました。あのちょっとシュールな毒素分はラフからはあまり感じられず、イラストに疎い私は「このラフからあの絵が出てくるんだ」と感嘆しきり。インタビュー内容的には作品のトーンにしっくり来る言葉が多かったです。
いけだたかしの『ささめきこと』は連載開始当初と最新刊とでは百合へのアプローチがずいぶん変わった気がするのですが、インタビューでもそのあたりの変化が納得できる「流れに身を任せてる」感が伝わってきました。
平尾アウリのはインタビューというか、書簡インタビュー? Q&A形式になっていてAの部分がイラストメッセージ形式です。会話形式と違って話が意外な方向に転がらないのが惜しかった。
百合特集のイラストで好みだったのはページ011のこより(作者ブログ⏎)。全体ではページ118のShowcaseSeries27の丹地陽子(作者公式⏎)。
読者投稿コーナーもレベルが高くて「これアマチュア?」と仰天。改めて日本のサブカルチャー大国振りを実感してしまいました。イラスト関連の専門学校案内も記事として並んでいて登竜門雑誌という性格になっているようです。
他の本の捜し物もあったので初めて新宿西口のブックファーストに行ってみたのですが「売り場が細切れで買い物しづらい」「(アルタ近くの)紀伊國屋書店より品揃いがいい」「売り場面積が広い」とびっくり仰天してきました。ついでに毎度のことながら店の位置がわからなくて迷子になったりして。自動車関連の洋書など意外な物も並んでいたりしました。
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