SONY VAIO type P 番外編・Flash Fire
Flash Fire(旧称Flash Point)なるツールがあります。
SSDの一部で起こる「プチフリ」の軽減を目的としたライトバックキャッシュツールのようなのですがプチフリが起こらない/起こりづらいとされているSLCのSSDでも書込性能がアップするとのことで試してみました。
キケン
休止状態ととても相性が悪いです。いくつかバージョンを試してみましたが、休止移行でコケる→再起動→セーフモードでも起動しない、ということがありました。ベンチマークだけ取って再起動したら同様、というケースも。イメージバックアップ大活躍。
ただし性能改善は魅力的で
ドライブ | SeqR | SeqW | RR512K | RW512K | RR4K | RW4K |
type P標準HDD | 27.70 | 26.63 | 15.67 | 13.53 | 0.26 | 0.84 |
MOBI3000 | 88.65 | 52.16 | 88.17 | 29.12 | 18.85 | 1.90 |
MOBI3000 + FlashFire099 | 84.36 | 53.77 | 82.30 | 18.10 | 14.08 | 6.69 |
MOBI3000 + FlashPointB3p1 | 82.50 | 62.13 | 80.81 | 27.19 | 15.03 | 8.36 |
Flash Fireの使用でランダムライトの4KBが5倍以上に。操作感も(小さな差ですが)明確に良くなりました。これだけの性能向上が安全に得られればスゴイのですが……。
上表をレーダーチャートにしてみたものが下図。
同様のSSD高速化ツールにPetite Freeze Busterという和製ソウトもあり、体験版を試してみたのですが、自動設定Middleでベンチマークソフト(CrystalDiskMark)を動かしてみたところRW4Kがいつまでたっても終わらなくなってしまって試用を断念。
type PのHDDモデルのSSDへの換装を目論んでいる方には「プチフリするSSDでもソフトで克服」という路線は現時点ではお勧めできない気がします。
とはいえネット上で見かける交換実績のあるものは
- Mtron MOBI3000シリーズ ZIF SLC
- Photofast G-MonsterシリーズのZIF無印/V2 MLC
くらいで、プチフリしないのではないかと思われるキャッシュ付MLCのPhotofast G-Monster V3+type Pの実例は見あたらないようです。(7/25現在)
『コミック百合姫』SUMMER 2009 Vol.17
コミック百合姫 2009年 09月号
一迅社
880円
2009.7.18
★★★★☆
表紙の印象が変わってどことなくBL誌風。青味の強い紫とボーイッシュなキャラ絵だからかな。
印象に残ったものから抜粋で感想を。
- 恋愛遺伝子XX 影木栄貴+蔵王大志
- 雑誌的にはかなり力が入っている様子。話も舞台設定をがっちりしてきている雰囲気なので先が楽しみ。ハダカにちょっとぎょっとさせられました。男性のいない世界設定ということで開けっぴろげな感じなのかな。
- ときめき☆もののけ女学園 南国ばなな
- わ、Wildroseかと思った。ファミレスで読んでいたので周囲の目が気になってしまいました。って、そんなところで百合姫を広げるのがすでに手遅れな気も。
- 百合の花粉は落ちにくい 三浦しをん
- 今回は水城せとなの『放課後保健室』を取り上げていました。これ、好きです。三浦しをんの取り上げる漫画はツボにはまるものが多いなあ。同時に軽く紹介されていた『黒薔薇アリス』もおもしろそう。
- パーラー百合姫 藤生
- 読み切り短編をいくつか掲載していた藤生のエッセイマンガ。なんか格好いいぞ。
- graffiti 古街キッカ
- 机の落書きから始まった関係。オーソドックスな感じですが好きな雰囲気。
- プリンセス♥プリンセス 青木光恵
- くちびるぽってり系の絵柄はそういえば百合姫では少数派。爪というのは百合モノでは象徴なのだな、と思ったのでした。
- Back★shot 天野しゅにんた
- 今号のMVPはコレ。割とアクの強い絵柄だと思うのですが、思われ人の華苗さんの赤面カットが見事にきまっていてぐっときました。
- さよならフォークロア かずまこを
- なぜか見るたびに「うまくなったなぁ」と思うのですが、以前に描いたものを見ても最新のものを見てもそう思える不思議。今回はヒロインの真白の正面顔でインパクトがありました。初読では冒頭「恋人にして」シーンの時系列に少し悩んだのですが、よく読んで納得。シリーズ展開が楽しみ。
百合姫は全体的に下着や裸の描写が増える号が波のようにやってくる気がします。今回はその号かな。
SONY VAIO type P その11・店頭モデルのHDDをSSDに換装
写真の通りMtronのSSDを買って参りました。type PのHDDをSSDに入れ替えようという目論見です。
秋葉原の自作PCパーツ店にて
- Mtron MSD-PATA3018-032-ZIF2 税込24,252円
SLCタイプの1.8inch/32GB。
Photofastのキャッシュ付1.8inchV3も店頭に並び始めていましたが無難そうなSLCを買ってきてしまいました。(Mtron + type Pは動作実例がいくつかあった)
用意したもの:
- #0の(精密ドライバーではない一番小さい)プラスドライバー
- ZIF接続のSSD
特殊な工具は必要ありません。
かなりばらばらな状態にまで分解します。繊細なフレキシブルケーブルの扱いがあります。分解・組立は中身の構造が理解できていればさほど難しくありませんが最初は苦労すると思います。
「KSR110でトコトコと.。o○:vaio type P VGN-P70H/G HDDをSSDに交換」様の詳細な写真付記事を参考にしてHDD→SSD交換に臨んだところうまくいきました。わかりやすくコツを解説した記事のおかげで固定爪を折ったりせずにすみました。お勧め。
実作業で一番苦労したのは組立時で、キーボード面(銀色の筐体部分)をシャーシ部分(写真のネズミ色の部分)に嵌め込む作業でした。
SSD化の結果は。
- Windowsの起動・終了・休止速度
- このあたりは軒並み全部速くなりました。とても。起動はうちのデスクトップより速いです。とはいえ基本的にレジュームで使用するので実使用では体感する機会はあまりないかも。
OSインストール作業も高速でした。 - アプリ
- 各アプリの起動速度はReadyboost使用時と比べても明らかに速いです。一太郎やadobe readerの起動速度は感動的かも。テキスト書き用途の多い身にはATOKが全般に快適になっているのが嬉しい。特に同音語用例・電子辞典ウィンドウ(ATOKで引けるオプション辞書表示枠)の表示が高速になってストレスが減りました。
OpenOffice.orgはCalcを主に使っているのですがSSDにしてようやく我慢できる起動速度になった感じ。
webブラウザも起動・表示ともにスムーズです。
Superfetchを切ったので(SSDには不要らしい)操作をしているときに余分なディスクアクセスが被らなくなったのも多少快適さに貢献しているかも。 - プチフリ
- ATOKの変換中に二秒ほど無反応になることがあります。ごくごく希ですが。一週間で二度くらい……かな。
- 耐衝撃
- 心理的なものですが効果大。休止状態へ移行しながらラフに鞄に突っ込んでもHDDのようにクラッシュする心配がありません。アクセス音がしないのも気が散らなくてイイです。
- 省電力
- SSDはHDDのように円盤がくるくるしているわけではないので省電力、と思っていたのですが換装してみてもキーボード
左右側手前付近(記憶装置の格納場所)の暖かさは変わりないです。バッテリー持続時間も一日試してみた限りでは大差ない印象。調べてみたら「Mtronは消費電力多め」という話を見かけてガビン!(←電力消費が多いのはMOBI3500シリーズでMOBI3000シリーズに比べて増えたというだけらしい。早とちりでした。ゴメンナサイ)
休止 | 電源 | |||
復帰 | 休止 | ON | OFF | |
Vista Readyboostなし | 1分 | 1分 | 1分半強 | 1分 |
Vista Readyboostあり | 1分 | 1分 | 1分半強 | 1分 |
Win7 Readyboostあり | 40秒 | 30秒 | 1分半弱 | 30秒 |
Win7 + SSD | 30秒 | 30秒 | 1分 | 30秒 |
起動/再開時間はログインパネルが表示されるまで。
トータルで見ればかけた金額とハラハラしながら分解した作業の元が取れるほどの劇的な性能アップではなかった気がします。CPUそのものが遅いのはどうにもならない、ということでしょうか。
細々とした部分で待たされることが減り、文章を打つような日常使用で効果的。「速い!」という感じはしないのですが「遅い~」とイライラする場面がほとんどなくなりました。
分解・組立で壊してしまうリスクの点でも、価格的にも、最初からsony styleでSSDモデルを買っていれば良かったというのが正直なところ。市販のSSDは割高な印象です。
HDDモデルの快適さアップであればコストパフォーマンスが一番高いのはReadyboostだと思います。余分なアプリを入れずにOSをインストールし直すことも効果大。
SSD32GB/z520という構成はsony styleのXP最廉価構成と同じなのだと気づきました。三月に店頭モデルを買ったときよりもずいぶん安いですね。
SSDの書込性能はFlash Pointというツールを使うとずいぶん改善されると見かけたので試してみたかったのですが、配布サイトが閉じられていて試せておりません。type PだとMOBI3000のベンチ数値も低めみたいです。
※flashpointはflashfireと名称変更されて再公開されているようです。(7/23追記)
※試してみました。「SONY VAIO type P 番外編・Flash Fire」
おまけ
あ、あれ?
問題なく動いてるしもう分解するのはイヤなので見なかった事にしよう……。
おまけ2
元々入っていたHDDはUSBのモバイルケースに入れてみました。
秋葉原で何種類か眺めてみたのですがこのAINEXのHDE-03はケースの周囲にケーブルをぐるりと巡らせて収納できるのが良さそうな感じだったので買ってみました。
- MK6028GAL(type Pに入っていたHDD)との組み合わせではフィルム電極がきつめでZIFコネクタの奥まで入った感じがしない
- 「ハードウェアの取り外し」をしてもHDDの回転が止まらなくてUSBケーブルを引っこ抜いていいのか不安
- 性能は本体内蔵時の七割くらい
- 電源&アクセスLEDが目立つ
- 筐体はプラだけど梨地で質感はそこそこ
- ケーブルは収まりよく格納できて Good Job
関連リンク
- Mtron SSD ZIF 1.8inch
- PC-Watch 笠原一輝のユビキタス情報局 VAIO type P開発者インタビュー …… 詳細な分解写真アリ
- AINEX USB1.8inch ZIF接続HDDケース HDE-03公式サイト
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FAUCHON フォションのフレバリーティ
フォションの紅茶というと、お洒落、よくわからないけど高級品、そんなイメージがあると思います。そのためか海外旅行に行った人からお土産にもらうことが多いです。「紅茶、好きだったよね」と。
ところが残念なことにお土産にもらうフォションはあまりおいしくありません。大抵フレバリーティで、癖が強いこともあってもてあましてしまうことが多いです。今回も到来物のフレバリーティで、正直あまり期待しないで飲んだのでした。
あれ? おいしい。
粉砕葉のアッサムに甘めの香りがつけられているのですが、普通のリーフティのときより心持ち低めの温度のお湯で淹れてみたところ、ノンシュガーでもおいしくいただけました。香りについては葉が刻まれていることもあって紅茶本来の香りよりも香料が勝ってしまっている感じですが。フレバリーティにも質の良し悪しがあるようです。
フォションを見直した日でした。
魅力は味だけではないです。
写真は紅茶缶ですが、金色のこれがとても洒落ていて可愛らしいのです。蓋も一工夫されていて横にスライドする外蓋と「F」マークのノブのついた内蓋に分かれ「容れ物だけでもほし~い」という人も絶対いるはず。
『大絶滅―2億5千万年前,終末寸前まで追い詰められた地球生命の物語―』ダグラス・アーウィン
大絶滅 ―2億5千万年前,終末寸前まで追い詰められた地球生命の物語―
ダグラス・アーウィン:著 大野照文:他訳
共立出版
2009.6.24
3675円
★★★☆☆
ぎっしりと内容の濃い本でした。でも、読みづらかった。すごく。
恐竜が巨大隕石の衝突で絶滅した、という説は多くの方が知っていると思います。「K/T境界」「イリジウム」「衝撃石英」といった単語に覚えがある人も多いはず。
ですが、恐竜時代よりずっとずっと昔、古生代と中生代の境界――P/T境界(ペルム紀/三畳紀境界)で起きた大絶滅の事を知っているのはきっと古生物好きな人でしょう。約82%の属が姿を消した大異変で恐竜絶滅の大イベントと比べてもより大規模な絶滅であったそうです。巨大隕石衝突よりすごいことって何が起きたんだろう。
この本ではそのP/T境界について大絶滅がどのようなものであったのか、原因はなんであったのかを、発掘調査に際してのエピソードを絡めながら様々な説を紹介します。特に最初のP/T境界の年代確定へのアプローチと最終章の大絶滅からの再興は興味深く読めました。崖を這いずり回って化石を採集し、同位体年代測定をし、人工生命的な「進化と淘汰」のシミュレーションをし、と土臭い事から理論家の仕事まで幅広い研究をこなしています。
面白そう、と思えませんか。
ところが文章がわかりづらい。数式はなく専門用語は最小限、グラフや図解も豊富で読み物としての体裁が整えられているにも関わらず内容を理解するのに非常に体力を要しました。
専門用語は少ないのですが必要とする知識量が多いようで、例えば「ホメオボックス遺伝子がどのような働きをするか」なんて知識がないと「ははぁ、アレを言いたいのだな」とわからない部分があったりします。専門用語やその解説を避けて簡潔に説明しようとして逆に何が言いたいのか推理が必要になっている感じ。文章そのものもあまりこなれているとは言い難くて、十行ほど読む内に混乱して慎重に読み返す、なんてことを延々とすることに。本文だけで文字ぎっしりの270ページ。
読み物としては根気が必要ですが、内容的にはたっぷり楽しめました。情報量は多いです。グラフも充実していて文章の読みづらさを相当に補ってくれます。
読みづらい科学解説書でもへっちゃらさ、という人にお勧め。
脳への糖分補給もお忘れなく。