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『雨の塔』宮木あや子

雨の塔
宮木あや子
集英社
2007.11.30
1260円

★★★☆☆

 『ダ・ヴィンチ』のGL特集で掲載されていた宮木あや子の掌篇の印象が良かったので特集で紹介されていた『雨の塔』も読んでみました。

 隔絶された収容所のような女子校(たぶん大学相当)、「この世の果て」というキーワード。三島、都岡、小津、矢咲という四人の女性の少し病んで、微妙な緊張感の漂う関係。軸となるアイテムはタバコ。
 甘々の百合恋愛を描いたのではなく、大きな権力の中から逃れられない閉塞感をほろ苦い雰囲気で描いたお話。恋愛というよりは依存関係を描いた感じかな。

 設定的には『麦の海に沈む果実』(恩田陸)を、キーワードからは『少女革命ウテナ』『Heaven』(佐々木倫子)を連想しましたが読後感はずいぶん違いました。『百合姉妹』のころの百合漫画に近い雰囲気の長編小説。ライトノベルではないです。

 文章も雰囲気も割と好きな感じではあったのですが、タバコが苦手な私には少し抵抗もあっては少なめ。小道具としてのタバコに雰囲気を感じる人であれば評価はもっと高くなると思います。

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