『北欧空戦史』中山雅洋
北欧空戦史
中山雅洋
学研M文庫
2007.11
788円
★★★★☆
面白かった。良かった。とても良かった。
タイトルの通り北欧三国、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの航空黎明期から第二次大戦終結までの空軍の活躍を描いた航空戦記。小説ではなく実際の戦争の記録です。1982年に朝日ソノラマから刊行されていた本の再刊。
ソ連とドイツの二大国に挟まれて戦乱の時代を生き抜いてきた北欧の小国の空の戦記。
大国の身勝手な論理に振り回されながらも強大なソ連を相手に善戦し、時代遅れの少数の飛行機で10:1の撃墜被撃墜率で独立を守り抜いたフィンランド。第一次大戦、第二次大戦ともに直接戦争には参加しなかったものの中立を守り戦後も独自の強力な空軍を擁することとなったスウェーデン。ドイツによる占領の憂き目を見たノルウェー。
フィンランドの奮闘ぶりは本当に感動的で、戦記物にありがちな陶酔感とは無縁の冷静な語り口ながら読んでいてフィンランド空軍を応援したくなりました。映画『ダーク・ブルー』もチェコ人飛行隊を描いた印象に残る話でしたが、このフィンランド空軍の冬戦争も映画にできそうなそんな話です。
戦記物らしい勇ましいお話ではなく列強に翻弄されてきた小国飛行機隊のドキュメンタリ。お勧めです。
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