『あかね色シンフォニア』瑞智士記
あかね色シンフォニア
瑞智士記
(一迅社文庫
2009.10.20
650円
★★★☆☆
DTMで『けいおん!』。
一言にまとめるとそんな印象でした。高校に入学したばかりの主人公・そなの明るく楽しいDTMスクールライフが繰り広げられます、というお話でダメ姉さんや傍若無人のDTM部長、部活仲間が周囲を固めます。
『あまがみエメンタール』や『幽霊列車とこんぺい糖』の百合ものが面白かったこともあって百合成分に期待して買ったものの、百合分はサービス程度。一巻の段階では女の子しか出てこない学園物、という状態なのですが主人公そなには百合属性は(まだ?)なさそうであるのに百合好き読者向け描写が多いのが「サービス」と感じられたのかも。『あまがみエメンタール』は完成していた原稿を出したので作者の特性がよく出たのかもしれませんが、今回のは出版社にテンプレ押し付けられた凡作って印象でした。そんなありきたりのラノベじゃ電撃みたいな大御所には対抗できないよなぁ、と思ってしまいます。せっかく百合や女装といったフェチな漫画のジャンルを牽引しているのにそれを生かすライトノベルではなくて無難なテンプレ話書かせているようではレーベル自体が危ういような。
一方で作者の音楽好きというのははっきり伝わってきて「DTM楽しそう」と思えました。『幽霊列車』も『あまがみ』も登場人物的には2+αくらいの感じでシンプルだったのですが、今回のお話は人数多め。視点はヒロイン・そなの一人称的三人称。
雰囲気からすると長篇シリーズっぽいので人間関係もDTMもまだまだこれからの印象。続刊に期待。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント