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『死闘ケーニヒスベルク』マクシム・コロミーエツ

死闘ケーニヒスベルク―東プロイセンの古都を壊滅させた欧州戦最後の凄惨な包囲戦
マクシム・コロミーエツ著 小松徳仁、高橋慶史訳
大日本絵画(独ソ戦車戦シリーズ)
2005.12
2625円

★★★★☆

 淡々とした戦闘記録でした。

攻勢作戦開始時点の第3ベロルシア方面軍は総勢479,331名の将兵と16,479挺の機関銃、5,078門の迫撃砲、2,080門の対戦車砲、4,496門の野砲、1,578両の戦車および自走砲を保有していた。それに対するドイツ軍部隊は、将兵135,480名、機関銃8,174挺……

『死闘ケーニヒスベルク』p.25より

 戦場のロマンとか武勇譚は一切なし。1945年からはじまったヨーロッパ東部戦線でのソ連軍の大反攻を主軸に情勢を上記引用部のように淡々と描いていきます。まさに資料本。全160ページ程度のB5版ソフトカバーであまり厚い本ではありませんが2625円。紙質が薄コート紙で多用されるモノクロ写真の印刷も良く、8ページのカラーには独ソ両陣営の戦車やトラックの側面図イラスト、舞台となった東プロイセンの地図などが収録されています。なるほどこれは高めの本になってしまうはず。長期保存を前提とした資料という印象です。「独ソ戦車戦シリーズ」というのはソ連(ロシア)のグラスノスチ以降の情報公開で得られた資料によるものだそうです。この本も掲載写真はソ連側の撮影した物。撃破された戦車類中心で、本文の記述もソ連側からの東プロイセン攻略を追っています。
 タイトルになっているケーニヒスベルク包囲戦も淡々と戦況が描かれますが、そこに記された万単位の死者や××部隊殲滅の言葉が重いです。陥落直後のケーニヒスベルクの写真も多く収められていて中世から築かれてきた強固な堡塁がぼろぼろになっている光景に戦闘の激しさを感じました。

 巻末に収められた訳者あとがきにはドイツとソ連双方がなぜケーニヒスベルクという古都に拘るのかが短くまとめられており「なるほど」と思ったのでした。

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