« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »

『チャンネルはそのまま!』VOL.2 佐々木倫子

背景でボケているのが紹介の本チャンネルはそのまま! VOL.2
佐々木倫子
小学館ビッグコミックススペシャル
2010.1.29
980円

★★★★☆

 佐々木倫子の『チャンネルはそのまま!』第二巻です。
 面白かった。
 雪丸は相変わらず天然のバカでした。空気も読めません。佐々木倫子にしては珍しく「KY」なんてネット語?も登場しました。でもこの巻では山根君があんまりバカ係してませんでした。いや、雪丸以外のバカ係りはしてたし、偽札事件やミスコンの回では雪丸の面倒を見ていたっけ。なんかもうあまりにナチュラルにバカ係で違和感なさ過ぎなだけでした。そしてマスコットキャラのホシイさんは得体の知れないイキモノと判明。
 今回は新キャラ・美人っぽい広報部長も登場。役職柄中高年キャラだけど可愛くて格好いいキャラです。こういう年齢のキャラもいい感じに描くようになったんだ、となんとなく感慨が。おじさんキャラのバリエーションも『おたんこナース』以来広がってきて不思議な味わい漫画に。そしてやっぱり色恋がありません。確かに雪丸の恋なんて想像が付きませんけど。
 天気予報でハーレーやタイヤを動員してくる予報士・降谷さんが気に入った巻でした。
 記者、アナウンサー、デスク、カメラマン、気象予報士、構成etc……読み進めていくとテレビ局がどんな風に運営されているのかが見えてくる『チャンネルはそのまま!』。テレビ局って変人ばかりなのかな。漫画だから、と思ってしまいますが、でも本当に変な人が多そうな気もしてきます。

 ひとつだけ残念だった点……。
 偽札事件報道で二千円札の話が出たときになぜどのキャラも「ニセん円札!」と口走らなかったんだ~。降谷君が登場すればきっとやってくれたに違いないのに~。すいません。駄洒落好きなんです。

| | コメント (0)

『今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機』丸山茂徳

今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機
丸山茂徳
KKベストセラーズ
2009.12.25
1500円

★★★★☆

 評価の難しい本でした。

 地球人為温暖化説に異議を唱える丸山茂徳の本で、温暖化説への反論と食料・石油危機を説きます。温暖化説が市民権を得、エコビジネスが展開されている今の日本では相当に奇異に映るのではないでしょうか。特に冒頭の攻撃的な論調は“とんでも本”と間違われそう。

今そこに迫る「彩り果実のミルフィーユ」 ※写真は記事内容に関係ありません ですがこの本は“と”ではありません。論調が断定的ですし、寒冷化であるという著者の主張も物証が足りていないという点で温暖化説の鏡像のような主張に思えますが、この著者の主張する

  • 太陽活動
  • 宇宙線
  • ミランコヴィッチサイクル
  • 地球磁場

寒冷化を示す材料は検証しうるもので、これらを組み込んだ地球の熱収支計算は試みられて然るべきです。温暖化を訴えるIPCCの予測は今のところ三年続いて大ハズレだとかで、一方で寒冷化説は自らが提示した要素を元にしたシミュレーション自体が示せていないようです。個々の寒冷化要素を挙げてはいても、トータルで評価できる段階になく、この本で示されていたのはまだバラバラの「寒冷化を示していそうな傾向が数点」。
 とはいえ温暖化説賛成派の人もこの本のような異論があることだけは知っておくべきかと思います。二酸化炭素回収プラントなんてエネルギー効率をガタ落ちさせるだけの無意味なものに手を出す前に考え直す良いチャンスかと思います。

 この本では人口過多による食糧危機、石油枯渇によるエネルギー危機も取り上げていますが、これらは寒冷化とは関係なしにやってくるであろう危機です。寒冷化すればさらに危機の度合いが高まるという話で、反温暖化説とは本来別個に考えるべきものであると思います。温暖化/寒冷化は食料・エネルギー危機の度合いを変えるパラメータのひとつであって危機そのものの根本的な原因ではないはずです。
 とはいえ、危機を訴えた中で取り上げられていたメドウスの「成長の限界」の紹介はとても印象深く、知って良かったと思う内容でした。

 「最初の方でシロクマ減ってないって書いてたのに後の方では減ってることになってる」「温暖化を前提にした“もしも”のシナリオが著者のロジックに採用されちゃってる部分があるような」等ちょっと首を傾げたくなる部分もありますがたぶん表現上の小さな問題なのでしょう。こういう性格の本では目立ってしまう瑕なのでもったいないな、と思ったのでした。

 食べる物が足りなくなる、農地が足りない、農業に必要な水が足りない、という直近の確定的な危機の前では温暖化/寒冷化の仮説対立なんて消し飛んでしまうんじゃ、と思った一冊でした。

| | コメント (0)

『ソビエト航空戦』飯山幸伸

ソビエト航空戦―知られざる航空大国の全貌
飯山幸伸
光人社NF文庫
2003.9
940円

★★★★☆

 最近戦記づいていますがまだしばらく続くかも。少し前に読んだ『弱小空軍の戦い方』と同じ著者の本です。『弱小~』ではソ連軍は悪の帝国という印象でしたが、今回の『ソビエト航空戦』では主役ということもあり精強ドイツ空軍に苦心惨憺立ち向かう一歩遅れた航空戦力の姿が描かれます。

 ソ連という国の飛行機はあまり印象がなかった(のでこの本を読んでみた)のですが、航空黎明期に巨人機に挑戦し、“ロケットの父”ツィオルコフスキーの国でもあったそうです。ライト兄弟に先駆けて空を飛んだ云々というようなこじつけ歴史もあったようですが。
 共産主義革命の混乱で多くの技術者を失ったり、独ソ戦序盤で航空戦力が壊滅同然の損害を受けたり、航空機材料の要であるアルミ系合金の資源が足りなかったりとソ連航空界は苦労の連続であったとか。この本を読んでいても“木金混合構造”だの“木製転換”という言葉があちこちに踊っていて「ドイツのジュラルミンの飛行機に木製機で対抗していたのか」と愕然とします。それでも大戦後半にはがっちり数を揃えてきていつの間にか世界有数の航空大国になっている恐ろしさ。ロシアの底力ってすごい。
 当時のソ連製飛行機も図鑑で見ると「なんか冴えない」と思ってしまいます。零戦やスピットファイア、Fw190に比べると彩色のためか形のためかなんだか洗練されているように見えません。けれどソ連航空機の歴史を追ってみると、ナチスドイツに脅かされつつ不安定な国内状況や立ち後れた工業に鞭を入れてなんとかかんとか造り上げてきたことがわかり、もっさりと見えた飛行機たちが格好良く見違えたりもします。三面図も豊富で、写真も(あまり鮮明とはいえないですが)巻の真ん中あたりに22ページまとめて掲載されています。ロシア航空黎明期のグランド号やイリヤ・ムロメッツの写真も有り。翼の下に戦闘機をぶらさげて出撃する変わり種爆撃機も紹介されていました。

 延々と飛行機が紹介され、ソ連の航空戦の推移が語られるのでそれなりにソ連航空機に興味がないと読み疲れてしまうかも。広大な領土で撤退戦に耐え、巻き返した忍耐の航空機開発はドイツの先進性に富んだ航空機たちとはまた違う面白さがありました。そんな部分に興味を持てる人にお勧め。

| | コメント (0)

『月のかぐや』

月のかぐや
JAXA
2009.11.6
1365円

★★★★☆

 月探査機かぐや(SELENE)によって得られた画像の写真集です。判型はA5版と小さめで「マニアが虫眼鏡片手に月の地形の細部を観察」というような本ではなく一般の読者向け。画像を眺めて感心しつつ解説文を読んで楽しむ、という感じ。火星の写真集などはかつては大判の高価な本も出ていましたが、学問向けに近いそういったものは今はネットで生データを期待する時代なのかもしれません。

 地形カメラの画像とされているものは地形カメラ(TC)の凸凹データにマルチバンドイメージャ(MI)で撮影したテクスチャを貼っているのかな? そのあたりの画像の作り方解説が見あたらなかった気がします。無彩色であるせいでしょうか。月世界は地形カメラから構成された景色とHDTVでの映像との間の視覚的なギャップがなくて不思議な感じです。
 映っている物の大きさが掴みにくい――のは大気のない世界ということもあり肉眼で見ても同様なのでしょうが「ティコクレータの中央丘は富士山サイズ」と知識がないとスケール感がわからないのももったいない感じ。(サイズがわかるように示された写真もあります)
 見所はやはりHDTVによる地球の出と地球の入。そして「地球が太陽を覆った半影月食」(地球食とは呼ばないのかな?)の写真。この食の光景はぜひ肉眼で見てみたいです。生きているうちに月観光に行ける世の中になるといいな。

 JAXAのサイトを覗いてみたら「かぐや3Dムーンナビ」というのが公開されていてかぐやによる月探査の成果をデジタルでWorld Wind風に眺めることができるようになっていました。おすすめ。
 「かぐや画像ギャラリー」のコーナーでも『月のかぐや』で紹介されていたのと同じ(らしい)画像が見られます。youtubeにもJAXA Channelが設置されていてがくやをはじめとするJAXAプロジェクトの成果がHD動画が見られます。こちらもおすすめ。

| | コメント (0)

『コミック百合姫』Vol.19 WINTER 2010

コミック百合姫 2010年 03月号
一迅社
2010.1.18
880円

★★★★☆


表紙&付録 みなみ遥

 Wildrose Vol.3の表紙で印象の良かったみなみ遥。付録は表紙絵のクリアファイル、太腿のあたりに視線が持って行かれます。漫画ではBLを中心に活躍している作家なのかな。

ピンナップ 西炯子 リカチ

 西炯子は初登場なのかな。百合作品もある人で絵柄にも馴染みがあったのでこれまで載っていなかったのが不思議な感じです。リカチは『空色ガールフレンド』からの二人。単行本同様彩色のテクスチャー感が画用紙っぽいような革シボっぽいような不思議な感じ。

妄想HONEY 三国ハヂメ

 新連載。ハーレム漫画になるのかな? 王子様キャラっぽい生徒会役員に見初められるヒロイン。幼馴染は流されやすそうなヒロインに気が気でなくて……というトライアングル。妄想~というタイトルはヒロインの妄想シーンてんこ盛りでくるということかな。『極上ドロップス』もこちらも好印象。

くまさんについて 田仲みのる

 百合姫コミック大賞の人の受賞後第一作。百合姫は新人でも遜色なく仕上げてくるあたりが怖い。日本のコミック描き志望者の層が厚いのか。

spike girls 竹宮ジン

 タイトルページの煽り文句に“本誌アンケートぶっちぎり人気”だとか。前回のパン屋話「Delicious Time」のアンケかな? 今回はバレーボール。ちびっこい先輩はセッターなのでしょうか。スポ根と百合はけっこう相性良さそう。『カレイドスター』という燃え百合アニメもありました。

スウィートルーム 青木光恵

 拾い物女の子というのは割とあるシチュ設定だと思うのですが、スコンとうまく落着を付けて「いいのか、ソレ」みたいな感じをさせないお話にできるあたりがさすが青木光恵。軽くギャルっぽい子の「いろいろしちゃったね♥」ってのも妙に素直で可愛い。

百合の花粉は落ちにくい 三浦しをん

 今回は『ささめきこと』を取り上げていたのだけれど漫画の話題より三浦しをんの過去のばか話の方が印象的でした。思うに「鞄を体の前で持つ乙女」というのは常にそうやって歩いているのではなくて、立ち止まった瞬間にスチャっと両の膝頭が揃い、手はお臍の下あたりで組み合わされ、鞄は体の前が定位置になる生物なのではないかと。そしてそういうお嬢系女子は歩きながら誰かと会話するなどあり得なくて、ススス……スチャ……ススス……スチャと徒歩状態と鞄前静止状態とを行ったり来たり。つまり漫画のシーンとして観測される瞬間には鞄は体の前にやってくる量子状態を取るのです。シュレーディンガーの鞄万歳。

ぱーらーゆりひめ本店 order05 藤生

 どーしてエッセイマンガでこの不思議な格好いい空気が生まれるんだー。

砂糖菓子は夢を見る 東雲水生

 猫目堂シリーズ。家庭教師の潤と生徒のちあさ、大学生の潤は高校受験生のちあさに大人として見られているようなのだけれど潤にはあまり大人の実感はなく――。

魔女の掌 四ツ原フリコ

 魔女のような鈴白に振り回される那須。振り回されてなるものかと心理学の本を読んでみたりするのだけれどやはり魔女には勝てるわけもなく。天然なのか狙っているのかわからないけど見事に周囲を振り回して思い通りにしてしまうタイプっているよなー、などと頷いたのでした。

レンアイ女子課 Vol.2 ラブ&ハートケア 森島明子

 女子力アップのパワーストーンで笑ってしまいました。今回のメイク売り場のお姉さんは隙がなさそうなタイプ。森島キャラ的に新型っぽい? 「すき」の返し方でもう一押し欲しかったかも。でもやっぱりこの人の作るお話好きです。

ナイフエッジガール 古街キッカ

 今号の読切MVPはコレ。ちんまいトンガリキャラ最高! 相方のへたれ具合も適度に歯がゆくてナイスな凸凹コンビ。話の落とし方もうまい。絵柄もお話とうまく釣り合ってる。

それが君になる 袴田めら

 最後のページのうらめしやポーズがハマりすぎてて笑ってしまいました。この人の漫画はほっこりするなぁ。

ヒメコイ マシュー正木

 二話構成だけど続き話。風紀委員長が登場し、なぜかどSのみどりのライバルに。てか、みどりはどSというかジャイアニズム型の気も。

ソルフェージュ さわななお

 意地悪キャラの邪魔が入ってかぐらとすくね様の関係がピンチに! もう一押しでぐっとくる話になりそう。

恋愛遺伝子XX 影木栄貴×蔵王大志

 前回登場したキーワード「エトワール」の説明は持ち越しで引っぱりのようです。新登場の吊目縦ロールはなんだか悪役オーラ。やっぱり縦ロールは意地悪キャラじゃないとね。

セルフレームの向う側 天野しゅにんた

 天野しゅにんたは薬剤師萌え属性とかなのでしょうか。少し前の「呪い」の話でも薬剤師だったような。どんくさ眼鏡を取ると超美形、というのは昔の少女漫画風設定ですが『湯けむりサンクチュアリ』で昭和テイストてんこ盛りであったのを思い出せば頷けたり。森島明子の話とこれとで美容ネタに力が入っていたのは編集部界隈?で女子力アップキャンペーンでも流行っているのでしょうか。

水色シネマ chapter.5 乙ひより

 ぉぉぉ。唯の元カノは意外とアクが強いぞ。波乱の展開はしばらく続くのかな? 乙ひより的には新しい話の進め方かも。

紅蓮記 第10話 武若丸

 単行本ももう間もなく三巻が出るし、連載も長いし、と思っていたけれど話数ではまだ10話なんだ、と改めて驚いてみたり。百合姫の連載ではこれが一番楽しみだったりします。今回からは魔界篇。髪の毛の房や服の端っこがいちゃこらシーンを部分的に隠す節度感とエロスの同居っぷりがイイ。

さよならフォークロア かずまこを

 ぁあぁあ。やっぱりトラブル一直線。でもきっと次はフォロー回になってくれるはず。

ときめき☆もののけ女学園 南国ばなな

 今回は人界篇。一家にひとりいるととても便利そうな垢舐め。ペロはもののけ女学園寮で大人気の予感。

 百合姫コミック大賞は大賞なしの入選一作、佳作二作で入選の「初熱」は絵柄が王道少女漫画っぽくて好みの予感。これは本誌には掲載されないのかな? 読んでみたいと思ったのでした。
 そうそう。次号予告にはピンナップに森永みるくの名がありました。さかもと麻乃とタアモも初登場予定だそうです。

| | コメント (0)

『ドイツ夜間防空戦―夜戦エースの回想』ヴィルヘルム・ヨーネン

『ドイツ夜間防空戦―夜戦エースの回想』
ヴィルヘルム・ヨーネン著 渡辺洋二訳
光人社NF文庫
2001.10
700円

★★★★☆

 第二次世界大戦でドイツの諸都市を瓦礫に変えた連合軍の戦略爆撃。夜間に大挙して押し寄せてくる四発エンジンの大型爆撃機に立ち向かったのがこの本に登場するBf110――双発の大型戦闘機なのだそうです。写真を見ればBf110はかなり鈍重そうでスピットファイヤなどの昼戦用の単座戦闘機と空戦をしてもとても勝ち目はなさそうです。けれども機首を機銃で針山のようにしたこの夜間戦闘機は大型爆撃機を相手に奮戦するのでした。著者のヨーネンは三桁撃墜数を誇るようなトップエースではありませんし、文章はちょっぴりわかりにくい部分もありますが、夜間戦闘の困難さと連合軍の戦略爆撃のすさまじさを伝えてくれます。爆撃阻止率の低さにはドイツ邀撃側の無力感が想像できました。ドイツの敗北を一番に悟ったのは絨毯爆撃を受けた都市の市民とこの本の著者たち邀撃機の乗員でしょう。
 兵たちのスラングに要所要所でドイツ語の読みが振られていたりするのも目を引きます。攻撃開始(パウケ、パウケ)! 読み応えのある本でした。

| | コメント (0)

『乙女座・スピカ・真珠星―タカハシマコ短編集』タカハシマコ

乙女座・スピカ・真珠星―タカハシマコ短編集
タカハシマコ
マーガレットコミックス
2009.11.25
420円

★★★★☆

 やっぱりタカハシマコは面白い。

 11月末に発売されていたのに気づきませんでした。マーガレットコミックスの棚はあまりチェックしてなかった……。

今日から春介とつきあってるのは祐一郎よ

『乙女座・スピカ・真珠星』収録
「バームクーヘン・レコード」より

 最初の短編でいきなりこれでBLかと思いきや真っ向甘酸っぱい恋愛ストーリー。劇的な大恋愛って感じではないかな。収録されているどの話も純正少女漫画風。タカハシマコの絵柄は『マーガレット』誌にぴったりという印象なのですが、ふわふわと柔らかいだけでなくトゲというか、女の子とんがった部分が潜んでいてこの作者の他作品同様、ファンにはツボなはず。私はとても気に入りました。百合方面でタカハシマコを知った人にも楽しめると思います。
 一話目「バームクーヘン・レコード」はタイムカプセルを発端に記憶をテーマにした話。老人を話に組み込むのがうまい。
 二話目「アンテナ階段」はブログとケータイ小説を通じてのちょっとややこしい話。
 三話目「ビニールハウス・ビニール傘」は二話目の脇役の子をヒロインした話。ああ、ひみつダイアリー。どうして人は後で思い出すとジタバタしたくなるようなものを残してしまうのでしょう。
 四話目「海猫のスープ」はおでぶであった幼馴染に片思いしているヒロインの話。
 最後の「乙女座・スピカ・真珠星」は表題作ですが一番コンパクト。天文好きヒロインにいきなり告白してきた男の子がいて……という。
 最近少し流行っている?草食男子という言葉があるようなのですが、タカハシマコの漫画に出てくる男子はそれっぽいかも。天真爛漫っぽくてプレーンでBLだとウケにまわりそうな……ってなんか変な例えですが。

 お気に入りの一冊になりそうです。

| | コメント (0)

『パガニーニ24のカプリース』神尾真由子

パガニーニ:24のカプリース(DVD付初回生産限定盤)
神尾真由子
BMG Japan

★★★★☆

 第13回チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で優勝した神尾真由子の2ndアルバム。コンクールの様子はテレビでも特集番組が組まれ、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾く姿は印象に残ったのではないでしょうか。1stアルバムの『PRIMO』はあまり印象がなかったのですが、こちらのパガニーニはぴりっとして好印象でした。

 とはいえパガニーニのカプリース。この曲はみとりの録音で刷り込まれているものでどうしてもそちらとの比較になってしまいますし、技術と個性が同居するマイケル・レビンの名盤もあります。
 みどり贔屓の私はやっぱりみどりの録音の方が好き。

| | コメント (0)

『フィールド古生物学 進化の足跡を化石から読み解く』大路樹生

フィールド古生物学―進化の足跡を化石から読み解く
大路樹生
東京大学出版界
2009.8.19
2940円

★★★★☆

 良い本でした。

 全四章からなり、タイトル通り、一章はまずはフィールドということでウミユリ研究に携わった経緯、ウミユリの生息域の話から現生のカニと貝の関係に触れ、実地の生物観察と化石観察とを結びつけます。二章では化石のウミユリと生きているウミユリの対比と進化を絡めて述べていきます。三章はフィールドから離れて先カンブリア紀から数回の大絶滅を含めて進化史を概観し、四章では著者の古生物学観がまとめられていました。概ね読みやすく、特に一、二章は著者自身の体験・研究と絡めた話で興味深く楽しめました。ウミユリの研究について詳しく触れた解説本というのは初めて読んだ気がします。この本、もっと現生のウミユリの生体をがっちり紹介し、化石の方はウミユリ図鑑&ウミユリ進化史紹介にしてしまっても良かったのかも。三章の進化と絶滅に関してはすっきりとわかりやすく最近の仮説を紹介していますが、この著者のオリジナリティはやはりフィールドとウミユリにあると思うのです。

 カラーページのない白黒の本ですが薄コート紙が使われていて印刷品質も高く掲載された写真もとても見やすいです。ウミユリのシンプルで可憐な姿も美しく見ることができます。

 読んでいてふと気になったのがウミユリの味。棘皮動物だというウミユリはウニやナマコ、ヒトデの古い仲間だそうで、これはフィールドにせっかく出ているのだから採集して持ち帰った物を(潜水艇調査で持ち帰れるのかな?)食べてみて欲しいと思ってしまいました。浅いところにあるウミユリは魚に食べられてしまうそうなのでおいしいんじゃないかと。……ん? 棘皮動物ってことはウニやナマコみたいに卵巣や消化管がある、、、のかな? そういえば現生のウミユリを専門に扱った本を読んだことがない気がします。ウミユリ本を探してみたくなった一冊でした。

| | コメント (0)

PC-Watchの「2010年の電子ブック事情」

 PC-Watchの「本田雅一の週刊モバイル通信 2010年の電子ブック事情」という記事は衝撃的でした。その記事の感想など。

 長くなったので目次。



  1. KindleブックはAmazon7割、出版社3割

  2. 適価でデジタル版を販売しないと海賊版が普及する

  3. ネット小説

  4. 青空文庫

  5. 著作者と出版社と読者と


1.Amazonと出版社の認識の違い

 Amazonでは個人でもISBN番号さえ取れば電子出版できてしまうとか。(ISBNがなくてもOKかも) Amazon側が販売価格の7割を確保し登録者が3割、というニュースも少し前にも流れていました。Amazonは出版社に対しても同じ条件を提示していたとか。出版社の側は逆に売り上げの7割が欲しいと主張しているそうです。
 既存の大手出版社はKindleの波に乗らずに意欲的な弱小出版社が乗りだして大ベストセラーで出版業界再編――。電子書籍で打って出ようとしている日本の零細出版社、あるいは海外からの参入組はそんな展望を描いているかもしれません

 今のAmazonで紙の書籍を買うときにはまず「検索」。購入者レビューも眺めてみたりします。そして「この商品を買った人はこんな商品も買っています」を見て類書もチェック。ですがレーベル別作品一覧は必要を感じないのです。せいぜい著者別の一覧程度でしょうか。ネット通販ではすでに「出版社」や「レーベル」という認識が希薄になっていると思います。Amazonが7割を主張するのもネット通販の顧客はもう「出版社」というブランドを気にしていないことを知っているからかもしれません。
 判型や体裁に対する認識も薄いです。宅配されたダンボールの中身を見てから「えっ。こんなでっかい(小さい)本だったの?」と思うこともしばしば。Amazonのサイトが実商品のイメージを伝えていないから、なんて理屈もこねられるけれど、現実として買うときに判型なんて意識しなくなっているのです。2500円? だったらハードカバーかな、程度の認識で買い物をしてしまっています。
 これはすでに実体のないデジタル書籍を受け入れられる感覚を育ててしまっているのかもしれません。

 とはいえZaurus文庫(SharpSpaceTownブックス)で二十数冊買ってみた経験からすると、デジタル書籍は買い物としていまひとつ楽しくないのも事実。買ってすぐに読めるのは実本通販よりいい。でも縦断検索もできないし、表示はブンコビューワのみと閲覧手段も限られます。イラストも320x240が基本で値段の高いシリーズでようやくVGA。表現力も低く、フォントも一種類で、レイアウトも青空文庫レベル。悪くはないのだけれど、でも紙の書籍と並べると明らかに見劣りします。タイトルも小説やエッセイが中心で私の好む科学解説書の類はありません。学問寄りのものは文系ジャンルの新書物が少しある程度でしょうか。

 などとちんたら記事を書いている間に元麻布春男の週刊PCホットライン『日本で電子ブックを成功させるには』とかYahooニュース「<出版社>国内21社が電子書籍協会発足へ アマゾンに対抗」なんてニュースも来ました。
 Amazonに対抗って……成功した通販サイト運営ノウハウもなく今更団結して間に合うのでしょうか。コンテンツ保護を前面に押し出しているあたり貸本屋モデルでコケたLIBRIeやΣBookの二の舞になりそうな予感も漂います。法の整備に乗り出すとありますがコンテンツ提供側が示す法案じゃディズニーまがいの自己利益誘導しかできずに読書文化そのものにトドメを刺しかねない展開も心配です。
 Appleの電子書籍ビジネスは出版社側の主張に合う売り上げ配分でもあるようなので、利益が確保されるなら、と連合が瓦解してAppleに流れてしまいそうな気もします。Kindle vs. Apple という海外資本対決になるのかもしれません。


2.適価普及で海賊版予防

 書籍の電子的な流通が不可避な状況で、それを入手する正規ルートを造らなければ、非正規の流通が進んでしまう可能性がある。たとえば本をスキャンしてネットで共有し始めたり、OCRをかけて電子ブック形式に変換(日本語の場合は少々難しいかもしれないが)して自主流通させてしまうといった事をやり始める人が出てくるだろう。

本田雅一の週刊モバイル通信
2010年の電子ブック事情

 PC-Watchの記事でショックであったのは海賊版に関する上記引用部分でした。現状、利用者の利便を損なわないコンテンツ保護手段がありません。すでにAmazonのコンテンツ暗号化は破られた、というニュースもありました。
 ドキュメントスキャナ利用者である身には電子データの「非正規の流通」が容易なことも想像できます。このブログにも海賊版を求めてと思われるキーワードでの訪問者は多く、海賊版対策が切実であるとの実感も覚えます。法規制も必要なのかもしれませんが、たぶんPC-Watchに書かれていた「容易な正規の入手手段」提供が現実的なのでしょう。技術的保護手段は常に突破する努力がなされているし、テクノロジーの発展という面から言えば正常なことです。
 ユーザの利便性を損なわないコンテンツ保護手段があれば一番なのですが……。

 以下はPC-Watchの記事とは関係なくなります。


3.ネット小説

 フリーのネット小説を公開している身としては電子書籍ビューワの普及は歓迎です。
 私はwebブラウザで小説を表示するのがキライです。DPIの低いモニタ、縦書き対応の不十分なHTML、“しおり”さえ挟めない……。(縦書き文庫などはwebブラウザでの表示で頑張っていますが) でも電子書籍ビューワが普及し、公開規格であるePubが普及してくれれば電子書籍ビューワを持っている人には気軽に、市販商品と同じ表示品質でアマチュア小説を読んでもらえることになります。もちろん、アマチュア小説は商業作品のような内容面でのクォリティを持たせるのは困難ですが、同じ表示環境という舞台に乗れるというだけでもとても魅力的です。
 当ブログではzip圧縮したテキストで自作小説を配布していますが、たぶん、パソコン操作のあまり得意でない読者を弾いてしまっていることでしょう。専用ハード・規格の普及でデジタルディバイドの壁が低くなるのもアマチュア小説書きにはありがたいことのはずです。


4.青空文庫

 青空文庫。
 知名度自体はあると思うのですが実際の利用者は少ない気がします。「だってどれを読めばいいのかわかんない」と。誰でも思いつくのが宮沢賢治や太宰治、あるいは『星の王子様』あたりでしょうか。でも『星の王子様』は見つけにくいはず。青空文庫に収録されている古い翻訳のタイトルは『あのときの王子くん』です。

 日本で電子書籍を展開するならば青空文庫という既存のリソースを利用しない手はないはず。電子書籍を売る側は「タダの物に慣れたらお金を払わなくなる」なんて心配をしているのかもしれませんが50年以上前の本たちです。青空文庫掲載作品を必要とするのはコアな読者層、読書のエキスパートではないでしょうか。周囲への影響力も大きいはず。直接には販売に結びつかないかもしれませんが、間接的に電子書籍普及の鍵となるコンテンツ群ではないでしょうか。
 あるいは青空文庫側がePubのような世界標準に対応していくべき状況なのかもしれません。著作権保護期間延長の是非を考えるためにも青空文庫のような試みは成果を実感してもらうのが一番ではないかと思います。

 Macから2010年1月末に発表になったiPadも電子書籍のフォーマットはePubだそうで、さらに著作権の切れた本を無料で読めるようにもしているらしいスクリーンショットも紹介されていました。Google Books、あるいはグーテンベルク計画(欧米の青空文庫のような活動)の成果を生かした面白い試みではないかと思います。


5.著作者と出版社と読者と

 日本では何年か前にLIBRIeやΣBookといった電子書籍の波が失敗に終わりました。出版社側の求めるガチガチの著作権管理――貸本屋モデルがまずかったのだ、と言われることが多いようですが本当のところはどうなのでしょう。そして新たなKindleとiPad、SONY READERの波はどんなものになるのでしょう。

出版社 著者 読者 販売店
著作権管理 必須 無関心
自由な利用
内容検索、COPY&Paste等
制限 無制限
価格 安く
デジタル化への期待 流通コスト減、在庫コスト減、新ビジネスチャンス 絶版の回避、少部数出版、間接費用圧縮による著作権料増大 製作販売コストの低下による低価格化、絶版の回避、少部数書籍の容易な入手、即時性 新ビジネスチャンス

 関わる人の思惑を想像してみるとこんな所でしょうか。もう少し情報と考えがまとまったら?を埋めていこうと思います。


関連記事


| | コメント (0)

『宇宙旅行はエレベーターで』ブラッドリー・C・エドワーズ

宇宙旅行はエレベーターで
著:ブラッドリー・C・エドワーズ フィリップ・レーガン 訳:関根光宏
ランダムハウス講談社
2008.4.23
1890円

★★★★☆

 現時点ではイチオシの軌道エレベータ(宇宙エレベータ)本です。

 著者はロス・アラモス研究所で宇宙エレベータの研究を始め、現在は炭素材料系の企業の代表やCEOでもあって「軌道エレベータを実現させようと実際に動き出している人」です。日本でも宇宙エレベーター協会(JESA)なる組織が立ち上げられてはいますが……。

 この本で取り上げられているのは静止軌道から糸を垂らす方式。静止軌道上に浮かんだ基地と地上とを糸で結び、その糸を伝ってエレベータ・ケージが昇降するタイプです。アイデア自体は古くからあるものですが、カーボンナノチューブという材料を得てもはや実現の時だ!というのがこの本の内容となります。軌道エレベータの原理説明やバリエーション解説は『軌道エレベーター ――宇宙へ架ける橋』(石原藤夫・金子隆一)がお勧めです。

 この本の出色は科学的な解説ではなく、社会、政治、経済、軍事に渡る幅広い視点で軌道エレベータを捉えていること。読んでいて「そうだ、これがアメリカって国のエゴなんだ」という部分を強く感じました。日本だとただ単純に「軌道エレベータを造りたい!」「宇宙への夢!」「技術者の夢!」というイメージになってしまいがちですが、さすがにベンチャービジネスに取り組む著者だけあって視点が違います。どの国が軌道エレベータを造れるだけの力があるのか、企業が造る可能性は、エレベータを守るための軍隊は、と夢から現実のパワーポリティクスやビジネスへ考えが展開します。読んでいてとてもリアリティを感じる内容でした。
 やつらはやる気だ!

 一方でロビー活動の一環も担っているようで、自国民や政治家たちに対して軌道エレベータ実現へのムーブメントを求めるアジテーション本でもあります。早く始めないと中国に先を越されちゃうぞ、と煽りまくり。さらには軌道エレベータの将来性を示すためだと思うのですが、何でもかんでもエレベータ化です。月、火星。どっちも大気がなく長大なカタパルトで射出する方式で何も問題ないはずなのになぜかエレベータ。

 また、この本の中ではエレベータ・ケージ(クルーザーと呼んでいる)は綱を車輪で挟んでえんやこらと昇っていくのですがその速度は200km/hに設定されています。これは遅すぎ。静止軌道まで一週間ちょっとかかっちゃう計算です。ケーブルにリニア軌道を敷くと重くて実現できなくなってしまうから、ということのようですがWikipediaによるとCNTには銅の1000倍の電流密度耐性を持つものもあるとのことで限りなく超伝導素材に近いこの特性を生かせば軽量なリニア軌道をケーブルに編み込めそうな気がします。固体接触がなければ速度はずっと上げられるはずですし材料面の変革で計画変更が必要な場面でしょう。そもそも摩擦を利用する方式では36,000km、100,000kmを移動する途中でメンテナンスが必要になってしまいそうです。固体接触はスケールの大きな移動手段では不利な気が。

 軍事ネタを絡めてきていたあたりを読んで思いだしたのが超人ロック『冬の虹』。軌道エレベータの建設にお馴染みロックが一枚噛んでいて……という話なのですが2004年以前に連載が始まったもので、軌道エレベータの警備問題が主なお話になっています。海上プラットホームに軍隊に国際政治に……とおおよそ『宇宙旅行はエレベーターで』に描かれたイメージが一足先に描かれていました。すごいぞ、日本の漫画家。

 一般人が宇宙に手を届かせるためにもっとも近い距離にある技術・軌道エレベーター。現実感たっぷりに味わうならば類書の中ではこの『宇宙旅行はエレベーターで』がピカイチ。お勧めです。

| | コメント (0)

迎春!招き猫大量増殖

Befor

20100108_01

After

20100108_02

 大晦日二年参りの前半と新年五日です。さすがにお正月の間は参拝客も多かったみたい。

20100108_03 あ、箱の中と目が合った。

 2010年分の招き猫写真をフォトアルバムにまとめてあります。

| | コメント (0)

『競馬の終わり』杉山俊彦

競馬の終わり
杉山俊彦
徳間書店
2009.10.20
2100円

★★★★☆

 第10回日本SF新人賞受賞作。
 冒頭でいきなり日本がロシアに占領されてます。主人公がピロシキを庭にぶん投げます。映画っぽいシーンで掴みはナイス。SF分は時代設定にはありますがストーリー的にはひたすら競馬です。馬、馬、馬。腹脳という電脳デバイスっぽいものとかバイオ牧草とかSF的ガジェットはあるけれどメインは競馬。とにかく競馬。馬券売り場のおじさんたちではなくて育てる側の人たちの視点ですが。
 競馬に興味のない私には馬の名前がずらずらと並んだり、馬の血筋についての解説が並んだりするところはちょっと読むのが辛かったですが、それ以外の部分はうっすらとユーモア感覚を覗かせながら描かれる馬牧場主の生活が心地良いです。生身の馬によって行われる最後のダービーに向けてストーリーが絞られていき、そしてやっぱり最後まで競馬なのです。「馬~!」って感じの帯のイメージ通りの内容でした。

 面白かった。
 けどこれは『プシスファイラ』と大賞を二分したというのも理解できました。ジャンル分けするならば「競馬小説」でSF新人賞の大賞というよりも中間小説誌の大賞作みたいな感じ。読みやすく引き込まれる文章、実感の湧く登場人物と人間関係、競馬への思い。すべてが高レベルですがSFとしてのとんがり具合で言えば『プシスファイラ』に軍配が上がると思います。
 SFJ2009春号の座談会で選者の一人が書いていたような「中年の悲哀」はあまり感じなかったです。でも権力に迎合せざるを得ないけど雌伏する「小市民万歳!」な感じはありました。このあたりの感覚が中年の悲哀イメージと近かったかも。
 選考座談会で指摘されていた「サイボーグ化を阻止する代表」の欠如が出版に当たって盛り込まれたのではないかと思います。あまり存在感はなかったですが。
 気になったのはキーとなる馬の“ポグロム”というネーミング。由来解説も作中でなされますが、解説になかった主な用法がかなり刺激的な単語だと思うのです。ロシア占領下の日本で使ってもちょっと浮いてしまわないかな、なんて思ったのでした。

 競馬好きにオススメ。馬券の倍率を気にするギャンブラータイプよりも血統とか調べちゃったり『優駿』みたいなマジメ系競馬雑誌を買ってしまう人には手に汗握る一冊じゃないでしょうか。

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その13・バッテリの自己放電

 通称“お漏らし”と呼ばれている休止状態中のバッテリ消費についてです。部分的には某掲示板に投稿したのですが、少しパターンを増やしてみました。

液晶蓋 自動再開(*1) WIRELESS キー押下(*2) バッテリ残量(*3)
× OFF × 71%
× ON × 75%
× OFF 64%
× OFF × 72%
OFF × 74%

(*1) 液晶の蓋を開いたときの動作設定 ○自動的に再開 ×何もしない
(*2) Enterキーの上に錘を載せてキーをストロークした状態で放置
(*3) 80%充電状態から/8時間後/Sバッテリ

 一回試すのに8時間放置しないといけないので条件の組合わせの全網羅は面倒くさくて無理です。 それぞれの実験は一回限りなので誤差もそれなりに含まれていると思います。

 傾向があるようなないような。残量71~75%のあたりは誤差……かな? 一方ではっきりと差が付いているのはキー押下状態。

仮説

 モバイル時に液晶蓋が押されてキーストロークするとバッテリ残量が大きく減って“お漏らし”という結果になるのでは?

  • 液晶面にキーボードの跡がついていることがある
  • 携帯時はソフトケース

 こんな条件のVAIO Pに“お漏らし”が多いのではないかなと想像しますが、果たして実際はどうなのか……。

 追加で

「BIOS画面で強制的に電源OFF」

を試してみましたが8時間後バッテリ残量は80→55%でした。

 さらにもう一つ。

「WindowsをShutdownした状態でバッテリを一度外して付け直す」

というのも試してみましたが8時間後バッテリ残量は80→67%。

 さらにさらにもう一つ。(2010.1.8追記)

「キー押下」(WIRELESS・ON 蓋閉じ)

では8時間後バッテリ残量80→71%。もう何が何やら。再現性自体がなさそうな気がしてきました。

| | コメント (0)

『出撃!魔女飛行隊』ブルース・マイルズ

出撃!魔女飛行隊
ブルース・マイルズ
学研M文庫
2009.9.8
798円

★★★★☆

 面白かったです。とても。

 ソ連の飛行機、と聞いてどんなイメージが湧くでしょう。冷戦末期のSu-27、エリア88世代の人であればMig-21あたりがソ連を代表する飛行機となるでしょうか。もう少し前の世代だとベレンコ中尉亡命事件のMig-25を思い出すかもしれません。では第二次世界大戦で戦ったソ連機ってどんなんだっけ、と考えてもあまりイメージが湧かないのですが、実はソ連空軍は15万機を第二次大戦に投入し、英米からも1万5線機を供給されてナチスドイツと戦った航空大国であったとか。(日本が7万機弱、ドイツが9万機強、アメリカが26万機)
 魔女たちの乗った飛行機も戦闘機Yak-1や爆撃機Po-2は木金混合構造だそうで、特にPo-2は古めかしい複葉機であるために第二次大戦で夜間爆撃機として活躍したというエピソードを読んでも不思議な感じです。

 この本に登場する女性たちは皆カッコイイです。巻頭に収められた写真のナタリア・メクリンはいかにもソ連の英雄らしい凛々しい美人ですし、エースパイロットであるリディア・リトヴァクも女優のように美しい人です。表紙左上のイラストがリディアではないかと思われます。文中では「グレーの瞳に金髪」となっていますが、イラストだと若干青味のある瞳ですね。(Wikipediaのリディア・リトヴァクの項に同じアングルのモノクロ写真があります)
 マリナ・ラスコヴァというソ連女性飛行士の呼びかけで集った女性パイロット達。飛行隊の編成から訓練を経て実戦に参加し、活躍し、ある者は散り、ある者は生き残ることになる過程を追っていきます。

 先に感想を書いた『北欧空戦史』の冬戦争~第二次大戦におけるソ連軍は悪役以外の何者でもありませんでしたが、こちらの『出撃!魔女飛行隊』においては防衛戦争としての意識が強かったことも感じ取れました。

 ドイツの三桁撃墜数を誇るエースに比べればこの本に登場する魔女たちの活躍は地味ですが、女性らしさを失わないままに前線で活躍した彼女たちはとても魅力的でした。驚くべきことにこの本のオリジナルは英国人の手によって冷戦時代の取材で書かれたものだそうです。日本では1983年に朝日ソノラマから刊行され、2009年の9月に再刊されました。絶版になっていた時に図書館で探したものの見つからず悔しい思いをしていた本だったのでした。
 改めて、読めて良かったと思います。

| | コメント (0)

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

豪徳寺へ二年参り2010

 二年参りに行ってきました。
 今年は人手が少ないようで23:50頃に到着してもお参りの列も、除夜の鐘突きの列も短めでした。天幕では例年通り招き猫と甘酒。

 今年こそ小説で良い結果が出せるよう頑張っていきたいと思います。

| | コメント (0)

« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »