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『ドイツ夜間防空戦―夜戦エースの回想』ヴィルヘルム・ヨーネン

『ドイツ夜間防空戦―夜戦エースの回想』
ヴィルヘルム・ヨーネン著 渡辺洋二訳
光人社NF文庫
2001.10
700円

★★★★☆

 第二次世界大戦でドイツの諸都市を瓦礫に変えた連合軍の戦略爆撃。夜間に大挙して押し寄せてくる四発エンジンの大型爆撃機に立ち向かったのがこの本に登場するBf110――双発の大型戦闘機なのだそうです。写真を見ればBf110はかなり鈍重そうでスピットファイヤなどの昼戦用の単座戦闘機と空戦をしてもとても勝ち目はなさそうです。けれども機首を機銃で針山のようにしたこの夜間戦闘機は大型爆撃機を相手に奮戦するのでした。著者のヨーネンは三桁撃墜数を誇るようなトップエースではありませんし、文章はちょっぴりわかりにくい部分もありますが、夜間戦闘の困難さと連合軍の戦略爆撃のすさまじさを伝えてくれます。爆撃阻止率の低さにはドイツ邀撃側の無力感が想像できました。ドイツの敗北を一番に悟ったのは絨毯爆撃を受けた都市の市民とこの本の著者たち邀撃機の乗員でしょう。
 兵たちのスラングに要所要所でドイツ語の読みが振られていたりするのも目を引きます。攻撃開始(パウケ、パウケ)! 読み応えのある本でした。

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