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『ドールズ』高橋克彦

ドールズ
高橋克彦
角川文庫
1997.8.25
588円

★★★☆☆

 交通事故以来様子のおかしくなった七歳の少女・怜。周囲の人間が案じる中で煙草を吸い、子供とは思えない行動を取り始めた怜に医学はなすすべもなく。事故前の怜の人格はどこに行ってしまったのか。憑き物? 呪い? あるいは単に事故の後遺症?

 人形物のホラーらしい、ということで読んでみたのですが想像していたものとかなり違って戸惑いました。髪が伸びるとか涙を流すとか夜中にしゃべり出すとか、そういう系統の人形と霊能者が対決する話なのだろうな、との想像はハズレ。特に後半は探偵物に近い感じでホラー色は薄くなります。書かれたのは80年代ですが、文章の雰囲気や日常の光景がどことなく60~70年代風。用意された素材はすごくホラー的なのに、あまり怖くなくてオチも「それでいいの?」と思ってしまいました。
 構成は緩急もついてうまくオチに向かって収束していく巧みさを感じましたが、キャラクターがちょっぴり書き割りっぽい。語り手キャラのロマンスもあっさり。
 消化不良的な読後感を覚えたのでした。

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