青空文庫と電子書籍
青空文庫に動きがありました。
青空文庫で使われている注記形式の解説を改めて行い、XHTMLへの変換スクリプト配布を始めたようです。XHTMLというのはwebブラウザ用に作られた規格だけれど、ePubという世界共通の電子書籍フォーマットにも使われているもの。htmlファイルだけだとパッケージとしてまとまりが悪いのでcssや画像、セキュリティ機能も含めて単一ファイルに固めましょう、というのがePubであるようです。
今回の「青空文庫 組版案内」ですが目新しいタグがいっぱい。
- [#ここから○字下げ、折り返して●字下げ]
- [#ページの左右中央]
- [#「○○○○」は中見出し]――見出しレベルに「大」「中」「小」ができた
- [#「○○○○○」は同行見出し]
- [#「○○○○」は窓見出し]
- [#「○○」は太字]
- [#割り注]
- [#「○」は行右小書き]
- [#「○」は上付き小文字]
- [#「○」は下付き小文字]
- [#ここから○字詰め]
- [#ここから罫囲み]
- [#ここから横組み]
- [#「○○」は●段階大きな文字]
- [#本文終わり]
このあたりが新しそう……とピックアップしてみたら青空文庫側でも変更点を列挙していました。
これは……一挙にXHTMLで表現可能な部分を網羅したかも。あとは均等や密着の文字割付けが採用されれば一太郎のような日本語ワープロの表現力をおおむねカバーしてしまいそう。Ruby変換スクリプトでXHTMLの例が示されているのでwebブラウザベースの青空文庫ビューワとは相性が良さそうですが、「扉」や「smoopy」のような老舗青空文庫ビューワを全タグに対応させるのは大仕事の予感。
テキストエディタで書くのが煩わしい仕様になりつつあって、青空文庫からJustsystemsに「一太郎に青空タグ出力つけてください」と働きかけて欲しいくらい。[#字詰め]と[#字下げ]注記の違いとかけっこうムズいです。
青空文庫2.0? 3.0?とでも言えそうな展開です。
海外から訪れようとしている電子書籍の大波は青空文庫も動かしたようです。
タグがちょっとややこしくなりましたが、青空文庫形式のタグで小説テキストを公開している身には表現力が増したことは嬉しい限り。近い将来にはePubか青空文庫かで自作を公開する小説同人が増えることになるのかもしれません。Nikkei BPの記事によると青空文庫側はそれを期待しているようでもありますね。
青空文庫形式タグの魅力は日本語テキストのマークアップ言語であること。WYSIWYGの組版環境がなくてもテキストエディタひとつでZaurusでもiPhoneでもケータイでも超漢字でもWindowsでもMacでも同じ原稿を変換なしでいじれるのです。もっともXHTMLを採用したePubも近い特性を持っていて、かつ世界共通フォーマット。
どうなる、日本語電子書籍。
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