『ブルースカイ』桜庭一樹
ブルースカイ
桜庭一樹
ハヤカワ文庫 JA
2005.10.7
735円
★★★★☆
SFです。
中世ドイツの片田舎、水車小屋に暮らす流れ者の少女と老婆。不作と疫病の流行にエスカレートしていく魔女狩り。そこかしこに顔をのぞかせる奇蹟。錬金術。ゴシックの香り。——と、ここまではとても気に入って読んだのですが第二部に入って一転、近未来的な世界でのデジタルクリエイターのお話となり、第三部ではどこにでもいるような女子高生の妙に醒めた日常へとシフトして行きます。一貫するのは少女。第一部でのおとぎ話的中世世界でのヨーロッパ映画の中に登場しそうな観念的少女と第三部での醒めきったあゆレプリカのような現代の少女を、第二部の少女化した少年——青年によって繋いでいく一種の少女博覧会。三つの話を結びつけるのがSF要素となります。
そのSF要素は一大ジャンルを成しているものなのですが、私はそのジャンルで納得できたためしがありません。この『ブルースカイ』でもやはりそのジャンル部分が釈然とせずに「惜しいなあ」と思ったのでした。ウェルズやハインライン、筒井などの超有名作もあるジャンルなのですが。
とても面白かったのに納得できなかった、という相反する感想になった本でした。
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