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『少女ホリック』青井はな

少女ホリック
青井はな
一迅社IDコミックス百合姫コミックス
2010.5.18
900円

★★★★☆

 表紙でぐっとハートを鷲掴みにされました。
 イラスト自体もイイけど装丁もイイ。ふと思い立って百合姫関連のお気に入り装丁をチェックしてみたら同じ人による仕事の率高し。う〜む。

 作者は作画への拘りが強そうです。表紙や裏表紙のヒロイン二人の体格、体型。本編冒頭と最後の方のページでの成長度合いのコントラスト。絵で成長を感じさせてくれるなんてニクい。

 せっかく彼氏ができたところなのに両親の海外赴任にお供させられそうになる主人公・結。なんとか日本に残ることはできたのだけれど、その居残り先はど田舎の祖母の元。ケータイの電波も届かないその土地で通いはじめたのは古臭い女子校だったのでした。女子校では真っ先に小猿のような凪に懐かれるものの……。
 スタンダードな女子校ものです。

 大事件が起こるわけでもなく、友情から恋へと傾いていく中学生活を描いたお話ですが、少女が大きく変わっていく時期。成長にあわせて結と凪の関係も変わって行く、そんな部分にフォーカスの当たったお話でした。小猿が少女になり、ボーイッシュというよりはシャープでマニッシュな女性へと変貌していく。一方は比較的普通の女の子らしい女の子であったのが相方の成長と対になるようにフェミンな女性性を花開かせていく。けして派手ではないお話なのですが、この「変わっていく」少女期の魅力がたっぷり。
 最初に読んだときはプレーンでアクのないお話に思えたのですが、手元に置く内になぜか幾度も読み返したくなる話なのでした。

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