『日本近海に大鉱床が眠る』飯笹幸吉
日本近海に大鉱床が眠る ―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦―
飯笹幸吉
tanQブックス
1554円
2010.4.9
★★★★☆
熱水鉱床研究の歴史を綴った本。
著者が経験してきた海底調査による熱水鉱床発見に至るまでの話をベースに、熱水鉱床を資源として評価し現在の国際環境を解説する。
学者が書いた生の本、という印象でした。面白かった。けど、文章に拙い部分もありました。一文一文はまったく問題がないのですが、本の中で後になって発見・紹介される知見が先に登場したりして「む?」となったり。時間軸をずらした演出を意図したのかもしれませんが、読みにくさに繋がってしまったようなのが残念。
でも、フィールド調査の生の魅力があります。著者自らが携わった研究。自らが参加した調査。自らが行った資料分析。論文を読んで掻き集めた知識の紹介ではなく、体験に基づくごりごりした知識。現場に直接関わった人特有の力があります。
相手国の役に立ったのかよくわからないODAの経験、微妙な状況にある海洋資源争奪の国際情勢、なんだかのんびりしてるように見えてしまう日本の資源開発アプローチ。サブタイトルはなんとなく近隣諸国との軋轢をイメージさせますが、実際には欧米資本の影響も感じさせてくれるまとめ方でした。
海底鉱山って収支の合うのかな? リモコンロボットみたいなもので採掘を行う無人鉱山とかだと宇宙にもそのまま応用できちゃいそう、なんて想像が膨らみました。。
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