« コバルトノベル大賞応募 | トップページ | ATOK2010 for Mac »

『世界カワイイ革命』櫻井孝昌

世界カワイイ革命
櫻井孝昌
PHP新書
2009.11.17
756円

★★★★☆

 “カワイイ”。
 若い世代の間で世界共通語になりつつある言葉だそうです。パリの女子高生が「日本人になりたい」と言い、ゴスロリやアニメなど日本発の文化がヨーロッパ各地でもてはやされているとか。今や日本はキュートでクール!

 この本の中で繰り返し訴えられるのは「日本の現代文化が世界からどれだけ愛されているか」という点。全五章構成のうち四章までが愛されている日本文化の事例紹介です。第五章では、当の日本人が自覚してなくてもったいないよ、とビジネスチャンスを訴えます。
 う〜ん。でも「愛されている」というのはこの本を読んでもまだ今ひとつ実感がわかないです。ファッションに先立って海外展開したはずのアニメコンテンツはどうなったのだろう。カミカゼ、スシ、ゲイシャにアニメが加わり、さらにアニメの中で頻出する制服やゴスロリファッションが関心を引くというのはわからないでもないのですが、それが大きなムーブメントに繋がるの?と釈然としない気持ちになります。そして、経済が低調なのをカワイイで盛り立てよう、とまとめるのですがここでバブルを連想してしまいました。エネルギー問題と食糧問題という工業化社会の根本が先行きの暗いままでは“カワイイ”は破滅に瀕した貴族の遊びのようだ、なんて思ってしまいました。

 海外から日本を見る視点とキーとなるゴスロリ。このふたつの点について知るだけでもこの本を読む価値はあると思います。特に、コンテンツ産業に携わる人には今後コンテンツが海外の目に触れる機会が増えるであろうことを知る良い機会になると思うので一読をおすすめしたいです。

|

« コバルトノベル大賞応募 | トップページ | ATOK2010 for Mac »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。