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『ROSE MEETS ROSE』慎結

ROSE MEETS ROSE
慎結
一迅社IDコミックス 百合姫コミックス
2010.7.17
900円

★★★★☆

 第二回百合姫コミック大賞で「発熱」にて紫水晶賞の慎結の単行本。第二回っていつだっけ、と振り返ってみると2010年1月発売の『百合姫』発表で……、半年で一冊描き下ろしたことになるのかな。
 収録作は四点。


花と手錠と

 これは設定勝ち。幼い頃に犯罪に巻き込まれ、危うく被害者になりかけ犯人を倒して逃れた主人公たち二人。共有した罪で強く結びつけられた二人は——。と始まる話なのだけれど見事に絵柄と設定がマッチングしてました。


声のない歌

 画家モノ。背景やオブジェのデッサンがカッチリしているのは作者も美術系の教育を受けているから、かな?
 この話のようなオチは最近の『百合姫』ではあまり見なくなりました。こういうのはもっとあっていい! 黒髪直毛キャラはやっぱり正義。


バラ色の人魚

 これは実写でショートフィルムにしたら映えそう。お花はCGで。頭の中で色付きイメージが動きました。水泳ネタです。ふと「唐獅子牡丹」という単語を思い出しましたが、拠り所を示す言葉であることを思い出せば意外と外れていないのかも、なんて。見開きページでは『スプラッシュ』という映画(男女カプの映画ですが)を連想しました。『青い珊瑚礁』も。


DoRoTHY

 タイトルは「オズの魔法使い」にかけたもの。この話が一番気に入りました。歌壇に倒れていた女の子の話。


 ベッドシーンはなし。雰囲気も純正少女漫画調。薔薇を背負ったこてこて少女漫画風味のモノクロカットを見ると、そういう方面の絵柄の好きな人にはきゅきゅーんと来ると思うのです。ので、購入を迷っている方は中身をちらりと見てみるのがお勧めなのですが……。一迅社公式で試読できるようにならないのかな。

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