『偽りの姫は騎士と踊る—ダブル・エンゲージ』渡海奈穂
偽りの姫は騎士と踊る―ダブル・エンゲージ
渡海奈穂
一迅社文庫アイリス
2010.4.20
590円
★★★★☆
百合ライトノベルの感想です。
面白かった。
少女騎士エフィと姫君ディアナのさすらい道中記。父王を弑逆されたディアナは隣国の王宮に食客として滞在していた。ディアナ付きの騎士エフィとともに亡命生活を送るうちに父王を殺した簒奪者クレイグの余命が幾ばくもないとの連絡が入り……。
中世騎士物ファンタジーの百合版です。
お話が動き出すまでが長めかな、とも思いましたが見事な百合っぷりと「そう来るか」という捻り。叙述トリックに近い、でも伏せられた札は推理では明かせないタイプの(小さな)びっくりが仕込んでありました。
姫の外面ツン、内面デレっぷりも見事で少女騎士は誠実に姫に仕えて振り回されながらも素敵に凛々しかったです。不満を挙げるならばメインになるはずの帰国道中が短めで旅立つまでが長かったことですが、苦難の旅路が続いては辛くなってしまうかな。
王道的な中世風異世界少女小説に仕上がっているエンターテイメント。少女小説ファン兼百合ファンはこういうスタンダードな騎士物を欲していたのではないかと思います。安っぽくなりすぎず、堅くしすぎずで匙加減の利いた楽しいお話でした。
同時発売の『企む王子は殺し屋と踊る―ダブル・エンゲージ』とは作中世界を共有している模様。
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