『三日月の蜜』仙石寛子
三日月の蜜
仙石寛子
芳文社まんがタイムコミックス
2010.10.7
860円
★★★☆☆
『ひらり、』Vol.1では大正ロマン風味、Vol.2では腹肉エピソードとちぐはぐなところが気になっていた仙石寛子のコミックス単行本が出たということで買ってみました。
なるほど。
納得。『三日月の蜜』は四コマの単行本でした。表題作の百合モノが全体の半分弱。残りは11編の掌編が詰め込まれていました。大正ロマン風味の物はなかったのですが、表題作「三日月の蜜」はすっきりさらりとした雰囲気ながら「おや?」と興味を惹かれる少し意外な、けれど読み進めていくと納得できるヒロインたちの心の動きが魅力です。お話としては百合、なのですが多少のフェイントとして男性キャラも登場します。
掌編では「一途な恋では」が百合。兄妹物、青虫物、干支物、眼鏡物……と挙げていってもなんだかちっともイメージが伝わる気がしません。掌編たちは『ひらり、』Vol.2掲載の腹肉話に通じる感じ。
淡々と、飄々とした作風で「すごくおもしろい?」と問われると「う〜ん」と悩んでしまうのですが、微妙にとんがっていて、達観していて、静かなこの感じは独特。絵のタッチも含めて同人誌的な気もします。わかつきめぐみやTONOの初期とスンタスが似ているかな。
『三日月の蜜』単行本を読むとスパンの長いお話もいけそうな手応え。『ひらり、』Vol.1に掲載した作家モノ、シリーズ化されないかな、なんて思いました。
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