『海月姫 6』東村アキコ
海月姫 6
東村アキコ
講談社コミックスキス
2010.11.26
★★★★☆
アニメも始まり六巻発売ということでシリーズの感想など。
女子独身者向けのアパート・天水館。風情のある昭和建築に暮らすのは——女オタクたち。三国志オタ、和物オタ、鉄道オタ、ジジ専、BL漫画家と濃いところを見事に揃えます。主人公の月海はクラゲオタ。おしゃれ人間のひしめく東京で、オタク丸出しの彼女たち「尼〜ず」はひっそりとオタク生活を送っていたのです。
ところがある日、月海が馴染み?の熱帯魚屋の水槽を覗いてみると、一緒に飼育してはいけない二種類のクラゲが同じ水槽に入っているではありませんか。店員はおしゃれ人間風味。勇気を出して月海がクラゲのことを伝えようとするも話が通じません。そこに颯爽と現れたのはお姫さまのような美しい超おしゃれ人間。月海に加勢してタコクラゲのクララを救ってくれたのでありました。
という出会いから始まるのですが、月海を救ってくれたおしゃれ人間は××××で×××の××なのでした。ん〜。コミックスでは一巻の最初の方、アニメでも第一話でネタばれしていることではあるのですが、これはぜひ漫画なりアニメなりに触れて確かめて欲しい。
とにかく、月海はこのおしゃれ人間と出会ったことで穏やかなオタク人生から慌ただしく活気のある世界へとじりじりと引っ張り出されていきます。月海だけでなく天水館の他の住人たちも。
つまりこのお話は冴えないオタク女たちにもたらされるシンデレラストーリー。
作者が『きせかえユカちゃん』でも得意としていた変身イベントもあってそれだけでも楽しい。お話は天水館付近一帯の再開発に絡みつつ、あっちこっちと意外な方向に転げながら進んでいきます。
六巻ではへんてこポーズの三国志オタ・まややが大活躍。これは予想外の展開。ということはもしかしてこの先は鉄道オタのばんばさんやジジ専のジジさまにも見せ場が? などと先が気になってたまりません。ベライス(ブライス・ドールをモデルにしていると思われる)オタの新キャラなども強烈です。固有商品名出せないのかな? 漫画タイアップ企画とかドールメーカーは好きそうな気がするのですが。月海監修のドール衣装なんて素敵なのに。
放映中のアニメは漫画原作が連載途上ということもあってこの秋だけの短期。でもこのアニメ、すごく出来が良いです。まややの怪しいポーズがばっちりハマった動きに再現され、蔵之介が最高に可愛い。ばんばさんの髪の毛も増量されていてラブリー。稲荷さんも良い感じにキャラが強調されていてより可愛くなりました。漫画のデテールを濃く、細かく、美しく描いていて少女漫画度も高いように思います。おしゃれ人間の衣装の華やかさはカラーで動くと感動的。コミックス六巻のあとがきでもアニメの監督がクラゲオタであることが紹介されていたりしてなんともミラクルな映像化だな、と溜息が出てしまいました。
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