『薔薇だって書けるよ』売野機子
薔薇だって書けるよ―売野機子作品集
売野機子
白泉社
2010.3.26
750円
★★★★☆
『楽園 Le Paradis』Tome3を読んで気になっていた売野機子の単行本、ようやく購入。店頭でも見つからず諦めかけていたのですが増刷された模様。うちに来たのは2010.10.10刷りの2刷でした。Amazonではマケプレ商品がプレミア価格ですがすでに入手難も解決されたのではないかと思います。
表紙カバーは硫酸紙のような透ける紙。背景の窓の部分だけより透けるようになっていて、カバー下のカラー表紙に刷られた薔薇がうっすらと見えるアイデア装丁。この『薔薇だって書けるよ』は2010年3月末刊で当時まだ掲載誌は二号しか出ておらず「創刊間もない雑誌からいきなり単行本?」と不思議だったのですが、同人誌からの収録とweb増刊と描きおろしと速いペースで本にした模様。
表題作「薔薇だって書けるよ」は憧れの少女・点子のハートを射止めた男の話。ところが結婚してみると点子は「珍奇・奇天烈・絶滅危惧種」の生活能力皆無でタイヘンな結婚生活に。あれよあれよと不幸にまっしぐら……。ところが点子は天使のようで読者としては惚れずにいられない。この「薔薇だって書けるよ」の一編だけでも単行本を買った価値があったと思いました。が、web掲載された三連作の「オリジン・オブ・マイ・ラヴ」、他三作のどれも好みという幸せな結果に。
百合要素やBL要素もちょっぴりあることはあるのですが、概ね男女ものの恋愛です。SF要素もちょびっと。うーん。魅力はジャンルにあるのではなくて売野機子の醸し出す独特の雰囲気にあるみたい。どんな読者に勧めれば合うのかよくわからない。以前に感想を書いた『Girlish Sweet』も勧め方の難しいコミックでしたが、この『薔薇だって書けるよ』もどんな層に勧めれば良いのかわからない。『スピカ』や『ネムキ』が好みの読者向け……かな? 店頭に置いている店も少ないので「中身を見て」とも言いづらい。雑誌『楽園 La Paradis』には毎号掲載があるのでそちらに載っている売野機子の作品をチェックしてみるのがオススメ、かもしれません。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント