« 『妖精ピリリとの三日間』西美音 | トップページ | 『コミック百合姫』2011年1月号 »

天文講座 金星に近づく「あかつき」〜あと四週間

 金曜日だったでしょうか。Twitterの「あかつき」チーム(金星探査機あかつきの広報アカウント)が講演の告知をしていました。JAXA宇宙科学研究所教授の佐藤毅彦氏が『金星に近づく「あかつき」〜あと四週間』と題する講演を行う、と。場所は世田谷区立教育センター。近所です。時折利用している中央図書館の入っている建物で、プラネタリウム投影設備も備わっています。そのプラネタリウム・ドームで講演が行われるとのこと。日時は11月13日(土)の夕方18:00〜19:00。

 佐藤毅彦氏は「火星—ウソカラデタマコト」展のMELOS計画をはじめ、最近の航空宇宙関連ではよく拝見する方。今回は金星探査機あかつきの赤外線カメラIR2開発担当者、ということで最新情報が聴けるかも、と聴きにいくことにしました。

 図書館での調べものがあったので午後三時くらいから図書館に行き、早めにチケットゲット。お値段は400円。公営のプラネタリウムは安いですね。

 開演時刻の十五分ほど前になってプラネタリウムの前に行ってみると行列ができていました。夕方からの講演であったのと「あかつき」という割とカタくて地味目のミッション絡みということもあって並んでいたのはいかにも宇宙マニアといった感じの大人が中心で親子連れは数組。

R0015391

 入場の際にはあかつきプロジェクトのステッカーと絵はがきが配布されました。

 佐藤先生は話術も巧みでユーモア混じりのわかりやすい講演となりました。あかつきのミッション解説が面白かっただけではなく、とれとれの新ネタがいくつも披露されました。

  • 前日に行われたあかつきΔVリハーサルの模様のビデオ紹介
  • 初公開のIR2カメラのテスト撮影結果紹介
  • ΔV開始は12/7 9:00JSTから700sec

 面白かったのは

  • 探査機へのコマンド送信は一行ずつオペレータが行う。
  • 探査機のロケット搭載のためのクリーンルーム搬入では虫が入らないように虫取り網を持った人がスタンバイしている。
  • 探査機はエンジンと観測・通信機器で大きく二つに分かれていて、あかつきペーパークラフトと同じ構造。
  • 組立治具はワンオフ。
  • ΔVは大部分が地球から見てあかつきが金星の影に入っている間に行われるので状況がわからなくなる。
  • ΔV直後にはあかつきが金星の「日陰」に入ってしまってさらにドキドキ。

 講演の最後には質疑応答の時間が設けられていました。書き留められた分だけ質問を列挙してみると……。

  • Q:IR2カメラでどんな映像を期待?
    A:スーパーローテーションの南北成分を捉えたい
  • Q:あかつきの寿命は?
    A:観測開始後二年を設定。実際には四〜六年持つのでは。
  • Q:IR、UVカメラは何を基準に波長を選んだ?
    A:UVはコントラストの大きなところ。IRはCO2の吸収・反射の強いところ。
  • Q:IR2カメラは台風のような気象変動は捉えられる?
    A:金星は季節変動がなく台風のようなイベントがあるかどうか。
  • Q:IR2カメラの耐熱温度は?
    A:30〜40℃
  • Q:金星にはなぜ火山があるの?
    A:それはまだわからない。

 大人の宇宙マニアの質問は具体的で技術的な細かなものでしたが、子供たちの質問が鋭かったです。特に上リストの最後の質問は佐藤先生も答えに窮していました。素朴な疑問って強い。

 今回のメインは佐藤先生の講演でしたが、間にこの季節のプラネタリウム投影も行われました。世田谷区立教育センターのプラネタリウムはこの今年の五月にリニューアルを終えたばかり。新設備は初めて見たのですが、星の像が以前よりずっと鮮明にくっきりと見えるようになっていて驚きました。世田谷区自慢のシステムのようですし、観覧料も安いのでオススメです。最寄りの駅が田園都市線桜新町or世田谷線上町で十分以上歩いてちょっと不便ですが、渋谷からならば教育センターのすぐ前が終点になる東急バス「渋05系統 鶴巻営業所行き」が便利です。

|

« 『妖精ピリリとの三日間』西美音 | トップページ | 『コミック百合姫』2011年1月号 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。