『ぼくは恐竜造形家』荒木一成
ぼくは恐竜造形家
岩崎書店イワサキノンフィクション
2010.2.16
1365円
★★★★☆
恐竜模型の造形師・荒木一成が子供向けに仕事を語った本。少年時代の恐竜や模型への目覚め、ひたすら模型作りに打ち込んできた日々。模型誌の誌上コンテストに作品を送り、海洋堂の伝説の日々に触れ、福井県立恐竜博物館の模型を作り、という恐竜模型人生を子供たちに向けて綴ります。
すごく読みやすい、子供でもすらすら読める、とは言いません。文字は大きめで総ルビですし、難しくならないよう心を砕かれているのは感じ取れますが小学校中学年には少し読み難いかもしれません。どちらかというとゴツゴツとした不器用そうな文章です。でも、この本は子供たちに読まれて欲しい、と思いました。
荒木一成は2008年にも『恐竜学ノート―恐竜造形家・荒木一成のこうすればかっこうよく作れる恐竜模型』という本を出しています。こちらは恐竜模型をゼロから作るためのハウツーが解説されたもの。なぜ、子供向けの本を立て続けに出し、子供向けのイベントを開いているのだろう、と不思議に思っていたのですが今回の『ぼくは恐竜造形家』を読んでわかりました。胸に迫りました。伝えたいことがあったからこうして本にしたのだ、と納得しました。
たぶん、子供たちはネットで書評を眺めて読む本を探したりしないでしょう。なのでここでは小学生の子供を持つ親御さんにお勧めしたいです。この本はまず親が読んでみてください。模型が好きであったり恐竜が好きであったりする親御さんならばたぶん、子供に読ませてやりたくなるでしょう。荒木一成の、模型の素晴らしさに比べると少しばかり不器用な言葉と思いが詰め込まれています。
きっとこの本は図書館で本領を発揮します。図書館の児童書コーナーには職業紹介本の企画台が作られたりします。小学校の図書館にも職業本のコーナーはできていた気がします。そんな場所で恐竜博士の子供に触れてもらうのを待つのが、この本の使命なのだと思います。
一人でも二人でも荒木一成の志を受け取る子供が出てくると、いいな。
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