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iPod touchとScansnap

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スキャンデータを表示してみた

 “自炊”という言葉とともに「ライフハック」系のコンテンツで盛んに取り上げられるようになったドキュメントスキャナ。「自炊データをiPhoneで活用すればこんなに便利!」みたいな記事を見かけますが、iPadならいざ知らずiPhone/iPod touchの画面で実際はどうなの?と思われた方も多いのではないでしょうか。

 結論から言うとイマイチ

 まずはiPod touchの表示スペックなど。

iPod touch画面仕様
表示サイズ75mm×50mm
画素数960pixel×640pixel
解像度約325dpi

 名刺のサイズが55mm×91mmなのでそれより小さな画面ということになります。
 実際に表示してみた印象では……。

iPod touchでの見やすさの印象
A4版雑誌文字はほとんど読めない。
幅を目一杯に表示して縦スクロールならなんとか読めなくはないが快適とは言えない。
A5(大判)コミック何が書いてあるのかはわかるがあまり快適とは言えない。
幅を目一杯に表示して縦スクロールなら読める。
新書きつい。一応文字は追えるが非実用的。
幅を目一杯に表示すれば可読範囲。縦書はスクロールが面倒臭くて不適。
文庫新書よりはマシだけれど大差なし。
新書・横に同じ。

 お勧めできない感じです。iPod touchの売りである網膜レティーナディスプレイは325dpiと高解像とはいえ、印刷物はさらに高解像度。白黒印刷物は600〜1200dpi以上に相当するものの文庫より小さな版・小さな文字の印刷物はほとんど流通していません。

 下画像は文庫本(2010年刊の創元SF文庫)とiPod touchのメモ(標準フォントサイズ)を並べてみたものですが、文字はかなり近いサイズ。

20110118_03

 このあたりが「快適に」読める文字サイズの下限なのかも。これより小さな文字でも「読める」ものはたくさんありますが(例えば紙の辞書はもっと小さな文字でぎっしり)、長文を読む前提では物理的な文字サイズが欲しくなる気がします。

ストレージサイズ

 iPod touchやスマートフォンの類は格納できるデータ容量も限られています。私が今回購入したiPod touchは32GB。A4/200dpiの雑誌資料を150冊ほど詰め込むとそれだけで他に何も入れられません。それでは私の用途(小説書き用の資料の持ち歩き)には不足です。iTunesでは再生頻度etcによってストレージのやりくりをしてくれるようですが、音楽と書籍——特に資料としての書籍では性格が違います。これまでに読んだもの丸ごと全部にアクセスできないとイヤだ、というのがけっこうな労力を費やして書棚の電子化に取り組んできた者の欲求です。実現するには500GB以上必要なので、現実的な解となると今はネット経由で自宅NASにアクセスするか、ネットストレージということになるのでしょうか。

未読ストッカー

 少し視点を変えて「積ん読防止」に使ってみるとどうでしょう。買ったばかりの本を読む前に電子化して、未読本棚をiPod touchで持ち歩く、という使い方です。これならデータ量も手頃で、iPod touchひとつでいつでもどこでも未読本が手のなかに。スクロールを多用することになりますが、読んでいる間の指は遊んでいます。まあ、我慢することにしてみましょう。

 悪くない、と最初は思いました。
 が、慣れてきた頃に文庫本を買って帰りにそのまま読み始めて見たら比較にならないくらい読みやすい。結局、未読ストッカーとしての利用は早々に挫折して、その日に読む本を一冊紙書籍のままでバッグに放り込んでおく旧来のスタイルに戻しました。スキャン物を読むのなら、文庫サイズ端末の解像度が300dpiに達してから、、、でしょうか。

漫画にはいいかも

 iPod touch×スキャンデータの活用に否定的な内容が続きましたが、愛読漫画を詰め込んでおくのには悪くない、とも思いました。繰り返し読んでいる漫画はセリフも内容も頭に入っていて、画面が小さく細部が読み取れずとも脳内コミック劇場のトリガーとして機能してくれます。
 とはいえ、作画の細かな部分まで楽しんでこその漫画だと思うので、iPod touch以前にスキャンと相性が良くない気はします。印刷物との印象もずいぶん変わりますし。

まとめ

 iPod touchは楽しいデジタルガジェットですが画面サイズは名刺以下。無理な“ライフハック”は四苦ハックの元だと思ったのでした。

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