『ミクロな化石、地球を語る』谷村好洋
ミクロな化石、地球を語る ~微化石に刻まれた絶滅と再生~
谷村好洋
技術評論社 知りたい!サイエンス
2010.10.21
1659円
★★★★☆
面白かった。
珪藻、放散虫、ハプト藻など海の微化石の話のあれこれ。海底の土壌を採取すると微生物の化石が含まれていたりするそうですが、その微化石の種類は時代・場所によって種も様々。採取した微化石の種がわかれば時代やその当時の環境もわかるとか。過去の海流の道筋や日本海のでき方などなど思わぬ地球の歴史が見えてきたりします。微化石ってすごい。
ただし、この本、構成がゆるめで主題がはっきりしません。微化石そのものが面白い対象なのでOKではあるのですが、半ばくらいまで微化石の何をテーマにした本なのかがわかりませんでした。
微化石ってどんなんだ、という人は店頭でこの本の先頭数ページを見てみるのがお勧め。「なんだこのヘンテコリンなの!」と引き付けられるはずです。顕微鏡写真での紹介がずらりと並び、人工物を思わせるデザインに自然の驚異を感じ、こんな面白い生き物がいたなんて、とわくわくできるのではないでしょうか。
2009年12月から2010年の2月まで「深海探査と微化石の世界」なる国立科学博物館の企画展もありました。この本が楽しめた人にはとてもお勧めでした。今は企画展の紹介ページしか痕跡がないのが残念です。会期終了後は会場で配っていたパンフレットのPDFでも落とせるようにしておいてくれるといいのに。
お勧め本もあります。『生物の驚異的な形』というエルンスト・ヘッケルの科学スケッチを紹介する本。放散虫、珪藻などの美しいスケッチも収録されていてお勧めです。芸術としての絵ではないのですが、すごく綺麗。とても綺麗。神様が自然界を美しくデザインした、というヘッケルにとってはスケッチも美しくなければ許せなかったであろうことが納得できてしまうスケッチ集。
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