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『Girls Love』1

Girls Love 1
一迅社IDコミックス 百合姫コミックス

★★★★☆

 百合版TL漫画的位置づけであった“百合姫Wildrose”シリーズが“Girls Love”シリーズとなって新登場。描写レベルでは成年コミックほどモロな感じじゃなくてティーンズラブものやレディコミと同じくらいだけど、性描写ありきの内容なので苦手な方は(このレビューの続きも含めて)避けるのがお勧め。

 どピンクだったWildroseとは表紙のイメージも一新してシックなキャラデザと色使いに。黒/金の背表紙。百合姫編集部的には“百合”と“GL”で言葉のイメージを分けたい、ということでのシリーズタイトル変更なのかな。ともあれ、肌色ばばーんという表紙じゃなくて買いやすくなったのは確か。


表紙 河井英槻

 シリーズタイトル変更に伴いカワイイ→カッコイイとモードチェンジしたことがはっきりわかるイラストでした。ネット書店で発売前に画像を見て、帯で下の方は隠れるんだろうなと思っていたのですが帯ナシ。指の表情にエロスが漂います。


扉イラスト ロクロイチ

 ぉぉぅ。……感想を書くと乳連呼になりそう。


恋のバランス・リー

 バランス・リー……ブルース・リー……駄洒落タイトルかっ ロクロイチ得意のちんちくりんキャラとクールビューティキャラのカップリング。クール美女の方が駄洒落タイトルを担当。


純情プレイガール 朝槻忍

 巻末の作者の言葉からすると新人の模様。見やすい癖の少ない絵柄でお話もきれいにまとまってて良い感じ。ほのぼの下克上。


ヒミツだけどね 三国ハヂメ

 仲良し幼馴染で堪えきれない思いを告白してしまい、嫌われちゃうかもだけどせめて最後にえっちを……と。


思い出結び 森島明子

 うまい。良かった。ちょっと窮屈に感じた12ページ。先輩と後輩の関係、卒業式の朝、しんみりとした空気、と恋愛物としてしっかりしたまとめ方で情感もたっぷり、黒髪の似合う学生キャラも可愛い。と思うのですが、シリアスなしんみりした空気とエロの組み合わせのためかな? 濡れ場なしの卒業の光景でも良かったかなーと感じてしまいました。えっちシーンはあるけどキャラたちの一番の関心もストーリーも性に向かっていなかったから、かな? 情交シーンにしっかり必然性を与えてまじめに真っ向恋を描こうとするのは森島明子らしいとも思ったのでした。


ヘビロテ★ランジェリー

 『つぼみ』の「レンアイマンガ」で好調なコダマナオコが百合姫系に。ポップで愛らしい絵柄、TLで培った?ノリ。こういうタイプの作品もあってイイ。百合以外では王道の気もするんだけどなー。下着ネタをとても可愛く読ませてくれました。
 ……ヘビロテってタイトルは勝負下着がってことになるのでしょうか。


夢見る夜明け 天野しゅにんた

 天乃しゅにんたは独特のゆるい雰囲気があるなー。おおらか? 泊まりがけの女子会で寝こけている仕事仲間にセクハラを、という話。百合姫本誌でもまた描かないかな〜。


あまいなみだ 再田ニカ

 『Raubritter*』で明るくのびのびした雰囲気が印象的だった再田ニカ。天乃しゅにんたと掲載が並ぶとぽわんとした空気の一帯が。和菓子屋さんのバイトの二人のお話。ふむ〜。和菓子屋さんらしい和服の制服もいいな。


ヒトヒラの花びら ピエール山本

 この人、好みだ〜。『百合姫Wildrose』Vol.6でもVol.5でも良かったし。コントラストの高い絵柄にコメディ的に強調された表情がいい感じ。毎回切り口を変えてきているようで今回は伝統的な女子高ものっぽい雰囲気。


 今回はコダマナオコが来て新風が吹き込んだ印象でした。アンソロジーということで今後も百合姫の読者にとって新鮮な人を紹介してくれると嬉しいな。

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