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『コミック百合姫』2011年5月号

コミック百合姫2011年5月号
一迅社
2011.3.31
★★★★☆

 東日本大震災の影響で発売日が3/18→3/31とずれ込んでいた『百合姫』が無事に発売されました。大きなシェアを持つ東北の製紙工場やインク工場が大打撃を受け、当面は出版にも影響が出るとの状況でよく二週間の遅れでも出すことができたな、と思います。次号の出る五月には状況も立ち直っているのでしょうか。


表紙&カバーノベル

 中二病全開の妙にカッコイイお話&イラストの第三回。やはりオムニバス形式で行くようで今回も新キャラが主人公。連れない話だな、と思ったら……。小説としてはショートショートという感じのボリュームなのに毎回驚きの展開が仕込まれていてほへーとなります。


扉イラスト タカハシマコ

 今回も目次は透けのある紙なのですが、部分透けではなくて唐草模様的なトーンでの縁取りでイラストが覗きます。イラストの次のページの印刷が響いてしまって淡いトーンが少し惜しいことに。>< いつか出るであろうCOLOR ART WORKS2に収録されるといいな。


もし婚活中のアラサーOLが塩田酒造の『六代目百合』を飲んだら

 タイトル長いよっ、『もしドラ』のパロディかよっ。タイトルページのイラストも『もしドラ』の構図だよっ。作画担当の八色って四コマで新人賞取ってた人ですね。カラーの絵柄も親しみやすいなー。イラスト付きのショートテキストです。文を書いている人は「NOV」ってなってますが正体不明ですね……。


ゆるゆり なもり

 アニメ化決定の「ゆるゆり」は今回5話60ページ。巻頭にはアニメ資料と思しきカラーページもありました。5、6、7巻毎月連続刊行って大丈夫なんだろうか。


あたしはお姉ちゃん ロクロイチ

 ロクロイチはこういう話も描けるのか、と意外でした。妹がばか過ぎて可愛い……。自作漫画でラブレターとか恥ずかし過ぎるぅぅぅ。


百合男子 倉田嘘

 今回は見事なバイオレンス?シーンがあります。百合男子はネット評を見ると「面白い!」という人と「最悪!」という人にきっぱり別れるようで、バイオレンスシーンは「最悪!」派を代弁させたシーンなのではないかなー、などと思ったのでした。倉田嘘は少年誌ばりの格闘シーンも決まるんだなーと新たな発見。


Rose letter 慎結

 うわー。こっぱずかしいじゃないかー。慎結は絵柄もストーリーも純正少女漫画。


スターティング・オーバー 南崎いく

 Wildroseではよく登場していたけれど百合姫本誌では初掲載。もっと早く本誌に呼べば良かったのに、と。面白いじゃーん。4/18発売予定の単行本『Sweet Little Devil』はWildrose掲載作品の収録のようです。描き下しや百合姫系以外の掲載作はないのかな?


Vampire girl 田仲みのる

 田仲みのるは芸幅が広いなー。今回は吸血鬼ネタの前振りから入り、少し意外な感じのする展開のさせ方。そう来たか!みたいな。


あまいゆびさき 宮木あや子

 第2話。前回で完結したのかと思ったけど続編キタ。今回は中学編。お話的には一段落しているけど【続】で終わってる。ヤター。


パーラーゆりひめ 藤生

 藤生先生、すごい犬っぷりです。


恋愛遺伝子XX 影木栄貴+蔵王大志

 今回は恋愛遺伝子XXも恥ずかしいオーラが。春ということで編集部がぽわぽわ恥ずかしチケットの配布でもしたのでしょうか。エトワールが特権階級らしいことはわかったけどまだ設定面の謎が多い感じ。


ふ〜ふ 源久也

 今回は主役ペアの姉・かななさんの話。モテモテのはずのかななさんにも弱点が……。


心路戀情 猫目堂ココロ譚 東雲水生

 最終話。あぁ、なるほどこういう設定だったのか……。長く連載してきたような気もするけれど季刊誌だったこともあって三巻分。猫目堂もこれでお別れなのかな。寂しいな。単行本が楽しみ。


レンアイ♥女子課 森島明子

 今回はバブリーな世代の二人。城王主任と鐘古デザイナーはビジュアル的にもメイクばっちりな感じの大人キャラ。プラス、新キャラも一人加わってそれぞれの関係が動き出しそうな? 次回も城王主任と鐘古デザイナー+新顔のハトちゃんでお話が進みそう。城王&鐘古世代のヒロインの百合話が読めるのなんて森島明子だけの気がします。この二人、カッコいいなぁ。鐘古デザイナーの鉄壁笑顔ぶりがコワくて切ない。


或る少女の群青 百乃モト

 電車の中での百合カップルWatchが日課になっていた主人公、ある日、その百合カップルと会話を持つきっかけを得て……。面白かった。同時にお話のその後を思うと苦しくなった。約束は果たされるのだろうか。現実の前に押し流されはしないか。口にしてしまった言葉に縛られてがんじがらめになりはしないか。と先のことを案じてしまうのはきっとこの話の痛みとか重みの部分に共感したからなんだろうな、とじんわり思った。


3秒ルール かずまこを

 うはー。ヤラレタ。わずか12ページでなんなのこのキレの良さ。きゅ〜。今号のMVPはコレ。


愛しい人 竹宮ジン

 陽子とナナの話の三回目。今回は少し時間が経過した大学生の陽子の視点でエピローグ的なアプローチ。


むげんのみなもに 高崎ゆうき

 なんとなくずうっと続いていきそうな気がしていたのだけれど前号のラストシーンから緊迫&核心に触れつつあるような。そもそもの謎——カギリやみなもの時間にまつわる特殊設定が明らかになっていくのかな。


SSを書こう

 対話形式の百合SS入門ガイド。これは「百合男子」の啓介妄想シーンとの連動企画かな。しっかりしたガイド記事だけど、これ、きっちりやるのは難しいことを求めている気はする。「中島梓の小説道場」みたいなのの百合版できないかな。


 次号、テクノサマタのリニューアル号掲載作の続編が予告に。これは嬉しいな。「飴色紅茶館歓談」も続きが。今号で「もしドラ」風のイラストを担当していた八色も四コマ連載開始で和物、服ネタ好きには嬉しい。

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