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『14歳の恋』水谷フーカ

14歳の恋
水谷フーカ
白泉社
2011.6.30
★★★★☆

 水谷フーカの新刊です。『楽園』に掲載されていた恋愛モノで、一話目は雑誌で読んで傾向が掴めていたし、前作『GAME OVER』が良い感触であったので楽しみにしていたもの。百合ではなくて男女カプのお話。

 ほのぼのとした少しおとぎ話的な空気。ミドルティーンの頑さ。プライド。純情。そんなものが描かれます。青春ってキレイゴトばかりじゃないぞ、という人にはちょっと耐えられないだろうこのほのぼの感。

 14歳。
 性に対する好奇心で頭の中がいっぱいの子もいれば、プライドの高さ故に性的なものへの感心を表に出せない子もいる。様々だけれど水谷フーカのお話では生臭さを良い加減に削ぎ落としていて現代のメルヘンのように仕上がっています。だからこそ生きてくる、何気なく配された色気。ん。いや、14歳にとっては、特に男子にとっては“何気ない”どころではなく作用しそうな種類のフェロモン。でも14歳の女子にはまだ影響力がピンと来ない。そのギャップがドキドキさせてくれる。
 一方で“女”の武器を自覚している大人の女性も登場して14歳組との違いを際立たせていたりも。ほのぼのとした絵柄で、ハダカもないけど、14歳モードに引き戻されてドキドキできるシーンがいくつもありました。
 たぶん、現役の14歳にはちょっと物足りなくて。
 青春ってなんだ? 振り返るってことさ。みたいなフレーズがしっくり来てしまう大人たちに楽しい14歳像なのだと思います。

 と感想を書いたけれど、ここで紹介したよりもほのぼの、のんびり、コミカルなタッチに思えるんじゃないかな。

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