『絶滅したふしぎな巨大生物』川崎悟司
絶滅したふしぎな巨大生物
川崎悟司
PHP研究所
2011.5.28
★★★★☆
ページのほぼ半分がイラストで埋め尽くされた古生物本。大きさは13×19cmでA5より一回り小さいくらいのソフトカバー。208ページすべてカラーのきれいな本です。
著者は「古世界の住人」というサイトで最新の古生物知識をイラストで解説していらっしゃる方で、この本にも古生物研究の最新情報を反映させた復元イラストがたっぷり収録されています。横書き体裁の本で、見開き左側には解説文が、右側にはイラストが来る構成。取り上げている生物のバリエーションも豊かで、テーマである“巨大生物”のスケールの妙とヘンテコさ加減が楽しめます。
面白いのは姿形のヘンテコさだけではなく生物としてのヘンテコさが古生物学研究の成果とともに紹介されていることです。研究そのものの魅力をわかりやすい図解で盛り込んでいて、地球環境の変動の歴史をさらりと紹介していたり、対立仮説を並べて比較したり、仮説の変遷を追ったりとただ単に「デカイ生き物がいたんだよ」図鑑で終わっていない古生物学へのラブがぎゅう詰め。イラストの比重の大きな本ですし、解説文もボリュームが限られているためにさっくり読めてしまうのですが、何気なく情報密度スゴイです。
今回の本で一番気に入ったのはプロトタキシテスという巨大キノコ。扱いは小さめだったものの(ナウシカの)「腐海だ!」と嬉しくなってしまいました。これ、化石の実物が見てみたい。キノコの化石って残るものなんだな〜。胞子とか植物にこびりついた状態の模様として残っていたりサルノコシカケの仲間は残りやすいって何かで読んだけど、菌類のマクロな形が単体で残っているというのは興味深いです。大きくなるために堅く、強い構造を取っていたのが残りやすさに繋がったのでしょうか。
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