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『リカちゃん生まれます』小島康宏

リカちゃん生まれます
小島康宏
集英社
2009.4.24
★★★★☆

 タイトルや表紙で瞭然かもしれませんがリカちゃん本です。着せ替え人形のリカちゃん。初代リカちゃんを世に送り出した担当者が当時のことを振り返ります。バービーやタミーといったファッションドールが人気を得ていた時代、タカラの社長・佐藤安太はそれらのドール用のキャリングケースを作ることを決意します。結果、生まれたのはケースだけではなく、ケース(リカちゃんハウス)と組み合わされる人形――リカちゃんもでした、と始まる開発譚。プロジェクトの責任者であった著者ならではの苦労話がリカちゃんに対する愛情、おもちゃ作りへの真摯な姿勢とともに綴られます。年少の読者を意識したかのような文章もまた、幼いユーザたちに向けて長年モノ作りをしてきた人のものなのだな、と思わせられたのでした。
 自分のしてきた仕事に誇りを持っていることがよくわかる素敵な本です。リカちゃんに親しんできた層が読んでも夢を壊されることのない、開発者魂たっぷりの本。リカちゃんファンにオススメ。

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