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『ひらり、』Vol.5

ひらり、 Vol.5
新書館
2011.8.25
★★★★☆

 『ひらり、』はしっかりした“らしさ”があるのが良いと思う。場違いな感じのする作品がなくて、明確。連作はあるけれど連載はない印象で、途中から読みはじめても問題ない。今号も、きちんと『ひらり、』な『ひらり、』でした。


表紙 松本花

 レース襟の襦袢……じゃなくて飾り襟、可愛い。足がかなり痛そうなことになってますが、これはもうおんぶで帰るしかないよね。


扉絵 高嶋ひろみ

 加瀬さんシリーズのカラーイラスト。いかにもキニシナイ感じのキャラの無防備感。


さようならむつきちゃん 磯谷友紀

 命名。うぶ毛百合。こういうアプローチがあるとは思わなかった。奇想アイデアでもなく突飛なノリでもなく。


さろめりっく 袴田めら

 袴田めらは『百合姫』に描いていた時よりも『ひらり、』の方がしっくりくる気がする。転入先のクラスに溶け込むことができたさろめ。溶け込むための手助けをしてくれたひかり。さろめにとっては当たり前のように“一番”のひかりなのだけれど……と小さなズレを感じはじめて。


先生は思春期 大沢あまね

 『図書室の姫ちゃん』『下着屋の娘』と「おっ」と思うお話を載せてきた作者。今回も良かった。何が良かったのだろう。よくわからないけど、心をつかむ何かがある気がする。


ふたりの卒業式 平尾アウリ

 ファンタジーだなぁ、という読み方もできるし、ある種の人のハートにナイフを突き込んでいるような気もする。Vol.2では小説イラストを描いていて漫画での『ひらり、』登場ははじめてかな。


ラブソングと加瀬さん。 高嶋ひろみ

 爽やかというか元気な加瀬さんにぐいぐい引っ張られていく感じのシリーズ。今回は山田のお気に入りの曲をキーにお話が展開。


お姉様のきもち 王嶋環

 この作家さんは初めて読んだ気がする。マリみて的な“お姉様”をネタにしつつもぐっとサムピースを送りたくなるナイスな締めの四コマ。


ソプラノ・フォルテシモ 吉田丸悠

 歌手志望のレイカと天性の歌声の持ち主五百森いおもり。五百森とぶつからずにはいられないレイカなのだけれど……というライバルたちのお話。少女同士のライバルっていーなー。


ふわふわのきもち ささだあすか

 引っ込み思案で料理部唯一の一年生の主人公。快活な上級生は眩しすぎてちょっと苦手だったのけれど——。このほのぼの感、いい。


みみみこのこ 遠田志帆

 昨年一年『ひらり、』の表紙を飾った遠田志帆の四コマ漫画、第二弾。みみみこは設定が色々あるっぽい。濃い雰囲気のイラストとはまた違う遠田志帆ワールドなのだなぁ。


一日白紙 未幡

 人間関係についての悩みという高校生らしいテーマの話。中高生時代にこういう悩みを抱えていた人は多いと思うのです。渦中にある子にはちょっと読むのが痛いかもしれない。でも共感できるんじゃないかな、などと学生時代を遠く振り返る身には思えるのでした。


私の王子様 犬丸

 王子様テーマだけど、今回のこれは文科系クラブの面白さを紹介した話に思えたのでした。こーゆー人、いるいる!みたいな。


ツバキ准教授の門限 ふかさくえみ

 これは意外な一編でした。主人公の准教授にはなぜか厳しい門限が。生徒の一人がそんな准教授に関心を持つのだけれど、あれれ? 予想外の設定が。いや、読者をびっくりさせようというシカケではないと思うのだけど作風と掲載誌的に意外でした。しかしイロイロってなんだ……。


ピンクラッシュ TONO

 相変わらずサナはひどいアイドルです。TONOのお話は始まって少し経ってからぐぐっとテーマが見えて?生まれて?きたりする気がするのですが、このピンクラッシュもアイドルという設定と百合モノという要素とがうまく噛み合いだした気がします。


under one roof #3 藤生

 うぉ〜。短かった。『百合姫』から移ってきたエッセイ「parlor」と合わせても8ページ。もっと読みたい〜。


箱庭コスモス 桑田乃梨子

 ふしぎ研究会が初めて本格的な活動を!


木陰にて 橋本みつる

 時系列や視点が行き交うためか最初はちょっとわかりづらかった。集中して読むと、ぐっと来る話でした。橋本みつるの描く少女は体のラインに妙に肉感的なところがあって目を引き付けられます。


シュガースポット 茉崎ミユキ

 Vol.1以来かな? ビワとバナナと。ルームシェアの二人の日常の中のワンシーン。


だってあのこ、ばかだもの 文:木原音瀬 イラスト:古張乃莉

 『ひらり、』に載る小説は不思議だ。マリみてみたいでもないし、吉屋信子みたいでもないし。らぶらぶ甘々のライトノベル風でもない。今回も少し尖った感じの読み心地で「え〜、このまま話が進んで平気なの?」と思いつつなるほどの落着点。漫画ほどは『ひらり、』風を感じないのだけれど、たぶん百合小説自体がまだジャンルとして成立していなくてマリみてとアニメのりのラノベしかなくて、手探りなのだろうなと思ったのでした。次号も小説載るのかな。どんな話が来るのだろう。


 そして次号予告に紺野キタの名前が。楽しみっ。

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