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『スーパーアース』井田茂

スーパーアース
井田茂
PHPサイエンスワールド新書
2011.5.21
★★★★☆

 面白かった!

 とてもホットだった『異形の惑星―系外惑星形成理論から』の続編的内容です。
 『異形の惑星』では当時最先端の話題であった太陽系外の惑星の発見について詳しく説明した内容で「こんな面白いことが進行中なんだ!」と興奮した覚えがあります。そして十年弱が過ぎた今回は木星型の巨大ガス惑星ではなく、地球型の系外惑星が話題。別の太陽系の、地球の十倍程度の重さの惑星を見つけてしまおう、続々見つけているのだという天文学の最先端を紹介しています。
 ホットジュピター、エキセントリックジュピターの紹介。発見史。観測方法の解説。巧みな構成で読者を引き込み、ジュピター型の惑星観測からスーパーアース型の発見へと話題を進めます。短期間で観測精度が劇的に向上していく経過に目が丸くなるばかり。こんなに急展開した学問ジャンルってあったでしょうか。日本のすばる望遠鏡も大活躍。
 さらにさらに。副題に「地球外生命はいるのか」とあるように、この本は単純に系外惑星の発見だけではなく、今後発展していくであろう系外生命探査への視点にもアプローチしています。地球の惑星史、生命史を概観し、実地の火星探査を飛び越えて一気に太陽系外に生命の信号——バイオ・マーカーを求めます。もしかしちゃうとこれからの十年で系外生命まで発見しちゃってまた著者は強烈にドキワクできる本を書いてしまうのかも!と思えるこの熱気。フロンティアはここにあるようです。今、高校から大学に進学しようとしている世代で天文と生命の境界領域を志す人たちにはとても楽しい時代になるのでしょう。羨ましい。

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