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『荒野の恋(1)』桜庭一樹×タカハシマコ

荒野の恋(1)
原作:桜庭一樹
作画:タカハシマコ
講談社KCなかよし
2011.2.6
★★★★☆

 少女漫画だっ。

 タカハシマコの絵柄は少女漫画的で、作風も少女期、少年期の繊細な気持ちをふわふわの絵+特有の残酷さで描いたものが多い気がします。そして原作の桜庭一樹もそんな少年少女の二面性を描くことの得意な人。『青年のための読書倶楽部』でもコンビを組んでいたこの二人の、コミック化新シリーズ。

 中学生になったばかりの主人公・荒野こうや。対置されるのはクールな少年・神無月悠也ゆうや。入学式の朝、荒野は悠也と出会います。ガール・ミーツ・ボーイ。荒野も荒削りな感じが素敵な子なのですが、この悠也もまた素敵に少年しているのです。バカで汚くてうるさくてスケベなばかりの現実の男の子には滅多にいない希少なガラスナイフのような少年。そして――ああ、ネタバレになってしまうので言及は避けますがとても少女漫画な展開です。王道少女漫画の展開なんだけど、でも、編集者が誘導しているかのようなアリガチな少女漫画ではぜんぜんなくって、なんつーか、THE少女漫画とでも言うべきか。

 桜庭一樹×タカハシマコらしく、百合漫画ファン的に期待できそうなキャラも登場はするのですが、きっと不遇なのだろうな、と予想できてしまうあたりも少女漫画です。この話はきっとそれでいいのです……。
 桜庭一樹の原作小説は未読でしたが、これを機会に読んでみたくなりました。文春文庫の『荒野』でいいのかな。

 同じ桜庭一樹×タカハシマコの『青年のための読書クラブ』シリーズも続刊出ますように……。
 二巻終了後はweb定期掲載もなくて、あと一冊で完結しそうなのにとても不安です。あっちも傑作なのに。

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