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小説創作とiPad

 創作系ブログとしてはiPadでの小説執筆に触れないわけにはいきません。

アイデア整理

 iPadの購入前から「このアプリはiPadで使いたい!」というものがありました。Idea SketchというiPhone/iPad Appです。

小説のアイデア整理中

 この種のダイアグラムはチラシの裏に書くのが一番実用的な気がするのですが、デジタルは試行錯誤を繰り返せる強みがあります。iPod touchでも印象の良いアプリで、iPadの大きな画面になって実用性がぐっと上がりました。

お・も・し・ろ・い!

 ツールを使ったからといって良いアイデアが湧いてくるわけでもないですし、頭の中が整理されるわけでもない気はします。ただ、アイデアをいじるときには何かしら形になっていた方が楽で楽しい。
 アウトラインモードとダイアグラムモードの往復もスムーズで、使い勝手の練られたアプリだと思います。

 Idea Sketch以外にも、マインドマップやアウトラインプロセッサには優れたツールがたくさんあるので、お使いの環境、用途、好みに合わせたものを探してみるのも楽しいかと思います。MacだとScrivenerやOmni Outlinerといったあたりが有名でしょうか。WinだとWz Editorや秀丸、あるいはOfficeのアウトラインモードのユーザが多いかもしれません。

文字入力

 小説創作で気になるのはタッチでの文字入力。iPhone/iPod touchのフリックでは心許なくもありましたが……。

ソフトウェアキーボード

 iPadの大きさではフリック操作が合わず、文字入力は通常のキーボードをタッチ画面で操作するソフトキーボードが文字入力の主力となります。

  • iPhone/iPod touchでのフリック入力よりは高速に打鍵できる
  • 一応、タッチタイプができる
  • 日本語はローマ字入力だけでJISかな入力ができない

 微妙です。
 とても使えない、というほどダメではないのですが、デスクトップパソコンのキーボードほど高速/快適に打鍵はできません。VAIO Pやポメラよりも打ちにくいです。ZaurusやIS-01のような手のひらサイズの親指打鍵端末と比べてもイライラします。
 タッチタイプは可能ではあるものの、キーの位置が掴めずソフトキー表面に指を置けないためベースポジションの確認ができないためでしょうか、誤打鍵が多いです。iPadのソフトキーボードで小説書きをする気にはなれませんでした。せいぜいがメモ程度でしょうか。

Apple Wireless Keyboard
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 Apple純正のBluetooth接続・コンパクトキーボード。iOS5でJISかな入力に対応したそうで多少の設定が要りますが快適に使用できました。

 JISかな配列で入力をするには

[設定]-[一般]-[キーボード]の[テンキー]と[フルキーボード]の両方の項目で[ハードウェアキーボードの配列]を「JIS

に設定します。
 慣れた入力方法で使用するとiPadが非常に快適なテキスト入力環境に化けました。問題はキーボードです。Apple Wireless Keyboardはデスクトップ用としてはコンパクトですが、持ち歩くには少々嵩張ります。現在、持ち歩けるBluetoothキーボードを探索中。

 Apple Wireless KeyboardはMacとも共用できます。ただし、MacとiPad/iPod touchでの同時使用はできません。

 また、iOSではキーボードはあくまでも補助的なデバイスという位置づけであるようでカット、コピー、ペースト、検索といったテキスト編集でよく使う機能へのキーボードショートカットがなく、画面のタッチを求められる状況が多いです。かな漢字変換においてのカタカナ、かな→英字置換、全角→半角置換といったショートカットもなしです。かな漢字変換では推測変換もオフにできないため、煩わしく感じられる場面も多いです。

音声入力

120415_17_07_23 完璧ではありませんが、ソフトキーボードを使うよりはずっとスムーズです。認識率は予想よりも高く、この文章も音声入力した後に入力不可能だった語を補い、体裁を整えただけです。

  • 擬音
  • 専門用語
  • スラング

 このあたりは認識できない単語も多いです。くだけすぎない日常会話であれば問題なく認識できます。句読点は「てん」「まる」で入ります。機械に向かって喋るので、周囲に人のいる場所では使いづらいもののだけ打鍵の苦手な人にはとても便利なツール。初めて体験すると驚くこと請け合い。一単語ずつでも、文章としても入力できます。
 音声入力だけでは入力できない文字や記号もありますが、ソフトキーボードとの併用で十分に実用になります。しっかりしたキーボードを使っていても喋るより速く打てる方もそう多くないはず。ぜひ体験して欲しい機能です。
 弱点は人前で使いづらい、ということでしょうか。機械とおしゃべりしている姿を他人に見せるのは、少し抵抗があります。

テキストエディタ

 iPadの小説書きで躓くのは編集アプリです。アプリ自体は色々あります。短文の入力・編集程度ならばiOS標準の「メモ」でも良いくらい。
 ところが、長文となると話が変わります。欲しい機能はこの三つあたりでしょうか。

  • パソコンとの小説データの同期
  • プレーンテキスト
  • 縦書き表示

 前二項を満たすアプリの中で評判の良さそうなものを使ってみました。

 Dropboxが利用でき、範囲選択や検索といったUIも馴染みやすく好印象です。ただ10万字以上を編集しようとするとどちらも動作が重く現実的でないです。Plain Textの方が多少マシな程度。
 縦書き編集は

といった選択肢もあるにはあるのですがデザインに馴染めなかったり、クラウド対応がなかったり、更新が止まっていたりと決め手に欠けます。

 文章の入力に専念するならきちんとしたキーボードのある端末が向いているでしょう。iPadに加え外付けキーボードを、となるとノートPCの方がずっと使いやすいはず。

まとめ

 iOS搭載デバイスは総じて文字入力が苦手です。基本はビューワなのでしょう。
 今回試した中で唯一、Idea Sketchはパソコンでする同種の作業よりもずっと快適で、直感的で、iPad環境ならではの良さがありました。

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