『彼女とカメラと彼女の季節(1)』月子
彼女とカメラと彼女の季節(1)
月子
講談社モーニングKC
2011.5.23
★★★★☆
良かった!
写真ネタ×百合の漫画です。写真ネタもイメージ先行でなくきっちり「写真」している感じがして、きっと作者が写真好きなのだろうな、と思わされました。
表紙カバーでヒロイン・ユキが手にしているのはYASHICA FLEXを模した実在しないカメラ、だそうですが、検索してみると“OTOWA FLEX”も実在する二眼レフカメラであったようです。外見は不明。音羽光機製作所というメーカーの模様。作中では講談社の所在地から「OTOWA」とつけたのでしょうが意外な偶然が。
表紙の二眼レフだけでなく作中で登場するのはフィルムカメラばかり。現像や暗室作業といったカメラオタ向けの蘊蓄はあっさりめですが暗室の光景などはさりげなくいい感じ。ユキさんのというよりは作者の写真愛が伝わる表現と日常的ながらパリエーション豊かな小エピソードの連発に引き込まれました。
百合、と冒頭で紹介しましたが『百合姫』etcのような最初から恋愛漫画として作られた百合漫画たちとは少し違う感じもします。男子も絡み、ユキさんは謎キャラで、主人公は割とフツウの子のはずなのだけど男子に関心がないことにさえ自覚がないらしいナチュラルなキャラ。同性へのドキドキもあるけれど百合好き向け専用ではなく青春の一部としての百合なんじゃないかな。榛野なな恵の『ピエタ』や紺野キタの『Cotton』といったマリみてブーム以前の百合要素のある漫画たちに近い感触。
とはいえ主人公のあかりはいいよる男子に「うぜえ」とこめかみに青筋を立てるそっち系。対するユキさんは奔放というかフリーダムというか。バンギャっぽい先の読めなさ。意外な設定が後から明らかになる男子キャラも含め「どうなるのだろう」と二巻が楽しみです。
このKANO*CAME世界ではデジタル写真はどういう扱いになるのかな、とふと思いました。
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